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商標関連情報

審決

「免疫」(飲食料品) 商品の効能(免疫機能・免疫力向上)の表示

種   別  異議の決定
異議申立番号 異議2016-900347
確 定 日  平成29年12月4日
主な関連規程 商標法第3条第1項第3号

本件商標

免 疫
(標準文字)
指定商品
第30類 「茶菓子,調味料、穀物の加工品,弁当」 等
第32類 「清涼飲料、果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」

結  論 本件商標の商標登録を取り消す。

理  由(要旨)
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
「免疫」の文字は、「生体が疾病、特に感染症に対して抵抗力を獲得する現象。」を意味する語であり、新聞記事情報及びインターネットウェブページ記事情報によれば、各種飲食料品について、免疫機能の向上や免疫力アップの記述があることから、飲食料品には、人の免疫機能又は免疫力を向上させる効能があることが広く一般に知られていること、及び、免疫機能を向上させる効能がある飲食料品が多数紹介されている。
そうすると、「免疫」の文字を、飲食料品について使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、これを「免疫機能、免疫力」という、商品の機能又は効能を意味するものととらえ、その商品を摂取することで、免疫機能や免疫力が得られるもの、すなわち当該商品の機能や効能を表示したものと、認識、理解するにとどまる。
したがって、本件商標は、商品の品質、効能を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 商標権者の主張について
(1)商標権者は、「免疫」の文字を飲食料品の効能を説明する際に用いる場合には、「免疫機能(免疫力)の向上」、「免疫機能(免疫力)の維持」などのような表示がなされるのが通常であり、「免疫」の文字のみを使用して「免疫機能又は免疫力を向上させる効能」を説明することはない。「免疫」の文字のみからは、需要者が、直接かつ具体的に、「免疫機能又は免疫力を向上させる効能」の意味を理解できない。審判合議体が指摘する新聞記事情報及びインターネット記事情報に掲載されている使用例は、「免疫」の文字が、説明文中の他の文字と共に用いられている例にすぎない旨主張している。
しかしながら、新聞記事情報及びインターネット記事情報における「免疫」の文字の使用例は、これらの飲食料品が「生体が疾病、特に感染症に対して抵抗力を獲得する現象」である「免疫」の機能や働きを高める効果のあるものとして紹介されているのであるから、「免疫」の語は、日常の飲食料品との関係で、飲食料品の効能の一種を表示するものとして、一般に知られていたとみることができる。
してみれば、「免疫」の文字は、広く一般に知られており、また、これを単独で飲食料品について使用した場合においても、当該商品から得られる「免疫機能、免疫力」という、商品の機能又は効能を表示したものとして、容易に理解される。
(2)商標権者は、「免疫」又は「免疫」の文字を含む商標が、飲食料品について登録されている例、及び、商品の効能を意識して採択されたとする商標の登録例をあげ、これらの事例が、本件商標の商標法第3条第1項第3号該当性の判断に、考慮されるべきである旨主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、その商標の構成態様と指定商品との関係や商品の取引の実情を踏まえて、個別具体的に判断されるべきところ、新聞記事情報およびインターネット記事情報の使用例は、「免疫」の文字が、指定商品の分野において、商品の効能を説明するために使用されているという取引の実情を示すものであって、かかる取引の実情を踏まえ、本件商標の登録査定時において、「免疫」の文字は、飲食料品の効能を表示したものと認識されるにすぎないものといわざるを得ない。
商標権者が挙げた「免疫(めんえき)」の文字からなる登録例は、新聞記事情報及びインターネット記事情報の使用例があった以前に登録査定がなされたものであるところ、本件商標の登録査定時には、前記の取引の実情があったことを考慮すれば、上記のとおり判断するのが相当である。

平成30.2.23発行「審決」より  2018.5.14 ANDO

 

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