「iPad」 「MI PAD」は紛れるおそれはない
「iPad」 「MI PAD」は紛れるおそれはない
事件の表示 不服2016-650020
確 定 日 平成28年(2016)11.14
主な関連規定 商標法第4条第1項第11号、同第15号
事案の概要
「MIPAD」(下記)なる商標を第9類に属する商品及び第38類に属する役務を指定して国際商標登録出願したところ、審査では、次の理由で拒絶査定した。
(拒絶査定の主な理由)
本件商標は、他人の登録商標「iPad」(第9,16,35、38類)に類似するから、商標法第4条第1項第11号の該当する。
本願商標は、米国カリフォルニア州に本社を有するApple Inc.が、タブレット型コンピュータについて使用し、世界的に広く知られている「iPad」の欧文字に類似する「I Pad」の欧文字を含むものであるから、本願商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合には、その出所について混同を生じさせるおそれがある。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
この査定に対して、出願人が、その取消しを求めて、審判を請求した。
本件商標
指定商品及び役務
第 9類 Portable electronic devices for transmitting 等
第38類 Telecommunication access services 等
引用商標
iPad(標準文字)
指定商品及び役務
第 9類 コンピュータ,コンピュータソフトウェア 等
第16類 紙類,製本用材料,印刷物,定期刊行物 等
第35類 広告,商品の展示会等の企画・運営・又は開催 等
第38類 移動体談話による通信,電子計算機端末による通信 等
結 論
原査定を取り消す。
本件商標は、登録すべきものとする。
理由(要旨)
(1)引用商標の周知性について
「iPad」の欧文字は、米国カリフォルニア州に本社を有するApple Inc.(Apple社)が2010年4月から販売しているタブレット型コンピュータの名称として使用されており、我が国においても同年5月から販売が開始され、該製品の取引においては、「アイパッド」の称呼が生じるものとして取引されている。2010年第3四半期には、該製品がタブレット型コンピュータにおける市場シェアの約90%を占めるに至り、2013年10月においては、累計販売台数は1億7000万台、全タブレットにおける該製品のシェアは、約81%となっている。
そうすると、引用商標は、取引者、需要者の間に広く認識されていたと認め得る。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標と引用商標とは、外観上判然と区別し得る差異を有する。称呼においては、本願商標から生じる「エムアイパッド」及び「ミパッド」の称呼と引用商標から生じる「アイパッド」とは明瞭に区別することができるものである。観念においては、本件商標は、規制の観念を有しないものであるから、比較することができいない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、あい紛れるおそれのない非類似の商標である。
また、引用商標の周知性を考慮しても、この判断は左右されない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
「iPad」の欧文字は、我が国において、コンピュータに関する取引者、需要者の間に広く認識されていたと認め得るものであるとしても、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの面からみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
そうとすれば、本願商標をその指定商品について使用した場合に、引用商標ないしは申立人を連想・想起するようなことはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
2017.03.31 発行「審決」より 2017.5.17 ANDO