企業の営業企画とともに歩む。

ペガサス(天馬の図)は、モチーフとしたのみでは特定し得ない

商標

ペガサス(天馬の図)は、モチーフとしたのみでは特定し得ない

事件の表示 異議2016-900190
確 定 日 平成29年(2017)2月2日

主な関連規定 商標法第4条第1項第15号

事案の概要
ペガサス(天馬)の図が、発電用太陽光装置の設置工事等について商標登録された。これに対して、ガソリンスタンドを世界で展開しており、ペガサスの図形の商標を世界各国で使用してきた者が、次の理由に基づいて、登録の取消しを求めて審判を請求した。
(申し立て理由の要旨)
申立人商標と本件商標は、いずれもペガサス(伝説上の翼がある馬)が飛翔しようとする姿を現した図形商標として共通しているうえ、同じ赤色で使用されると、「赤いペガサス」として観念においても共通することが明らかであり、申立人が世界各国で大規模な事業を展開している国際的な企業であることから、本件商標が発電用太陽光装置の設置工事等に使用された場合には、申立人のグループ企業が提供する役務であるかのごとく、 誤認混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

本件商標

JPJ7428900190_000001

指定役務
第37類 発電用太陽光装置の設置工事・保守及び修理,建設工事,電子応用機械器具の修理又は保守 等

引用商標 A

JPJ7428900190_000002

指定商品
第4、3、6類

引用商標 B

JPJ7428900190_000007

指定商品
第12,16,25類

結  論
本件商標の登録を維持する。

理由(要旨)
(1)ペガサス商標の著名性について
申立人の合併前の法人は、全米各地においてペガサスをモチーフにした図形を商標(以下「ペガサス商標」という。)として使用していた。
申立人は、ガソリンスタンドを世界で展開しており、1931年頃より、潤滑油の商標として「Mobil」を使用し、ペットマークとして、日本では「ペガサスガソリン」と呼ばれた。ペガサス商標を使用してきた。
我が国においては、東燃ゼネラルグループにより「Esso」、「Mobil」及び「ゼネラル」のブランドを使用し、燃料油販売や潤滑油の販売が行われている。
しかし、提出された証拠によっては、赤いペガサス商標の使用時期、場所、使用態様などについて実績が明らかでない。したがって、赤いペガサス商標が、我が国において、申立人の業務に係る商品等を表示するものとして広く認識されていたものと認めることはできない。
(2)本件商標と引用商標A及び引用商標Bとの類似性について
ア 外観について
本願商標と引用商標とは、いずれもペガサス(天馬)を表した図形よりなるものであるが、本件商標は、両前足を蹴り上げるかのように大きく曲げ、左上方へ飛翔しているような構成からなり、右翼が全体の赤色よりも薄い色彩で表されており、全体のシルエットも写実的な輪郭で表されている。
一方、引用商標Aは、左前足をやや前方にのばし左上方へ飛翔しているかのような構成からなり、また、引用商標Bは、右前足をやや前方にのばし右上方へ飛翔しているかのような構成からなり、両者とも、みみ、口、たてがみ尻尾、翼部などの形状の輪郭を白線で描いており、全体のシルエットも写実的とはいい難い。
してみれば、両者は、構成態様及び描画方法において明らかな差異を有するものであるから、印象が異なり、外観において十分区別し得るものである。
イ 称呼及び観念について
いずれも「ペガサス(天馬)」をモチーフにしたものといえるが、「ペガサス」は、架空の動物であることからすると、これを描く場合、翼を有する馬として写実的に描き、あるいは漫画的なシルエット風に描くなど表現方法はまちまちであり、その構成も様々であって、さらには、その姿勢、体勢及び各部位も様々な形状に描かれるなど、その描出方法、表現方法も異なるのが実情であるから、単に「ペガサス」をモチーフにしたというのみでは、図形を特定し得ないというべきであり、単に「ペガサス」の称呼及び観念を生じるものとみることはできない。
してみれば、称呼及び観念において、相紛れるおそれはない。
ウ したがって本件商標と引用商標A及び引用商標Bとは、非類似の商標である。
(3)出所の混同について
本件商標と引用商標A及び引用商標Bとは、非類似の別異の商標というべきものである。
本件商標を指定役務に使用しても、取引者、需要者に引用商標を連想又は想起させることはなく、出所について混同を生ずるおそれはない。

2017.3.31発行「審決」より  2017.5.19 ANDO

 

あらゆるタイプの「商標登録」についてお気軽にご相談ください。

先頭に戻る
先頭に戻る