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商標関連情報

審決

「007」 「00・電動ドライバーの図」とは混同しない

事件の表示 異議2016-900184
確 定 日 平成29年(2017)2月3日

主な関連規程 商標法第4条第1項第15号

事案の概要
「GUNDRIVE」の文字を上段に記し、その下段に、「00」と電動ドライバーをシルエットで表した図形を表示した商標(下記)が、「動力付き手持ちドライバー」を指定商品として商標登録された。
これに対し、「007」を秘密情報部員のコード名とするジェームズ・ボンドを主人公とする小説シリーズとこれを映画化したシリーズ作品に著作権を共有する者が、次の理由で、その取消しを求めて異議申し立てを行った。
(異議申立ての理由の要旨)
本件商標において電動ドライバーを構えた様は、ピストルを撃つ様に似ているところから、本件商標の「7」に見立てた電動ドライバーの図形は、「GUNDRIVE」という文字及び「007」という文字を想起させるデザインと相俟って、「ピストル」を連想させる。
一方、引用商標は、「007」の文字とピストルをシルエット化した図形からなる。
両商標は、外観上異なる点はあるが、ピストルのシルエットの位置などは記憶に曖昧になるところから、外観が類似する。また、両商標からは、「ゼロゼロセブン」という同一の称呼が生じ、さらに、映画「007シリーズ」の観念が生ずる。
申立人は、様々な企業とタイアップを行っており、「007」の名称及び標章は、様々な商品に使用されているから、本件商標が指定商品に使用されれば、商品の出所について混同する蓋然性が極めて高い。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

本件商標

JPJ7428900184_000001

指定商品
第7類 動力付き手持ちドライバー

引用商標

JPJ7428900184_000002

結  論
本件商標の登録を維持する。

理由(要旨)
1 引用商標の著名性について
(1)イアン・フレミングの長編スパイ小説の主人公である「ジェームズ・ボンド」は、イギリス秘密情報部の工作員であり、「007」のコード名を持ち、この者を主人公にした小説はシリーズ化され、多数の作品が出版されている。
(2)「ジェームズ・ボンド」を主人公とした小説シリーズは、1962年に映画化されたのを契機にこの54年間に24作品の映画が製作され、これら映画作品は世界中で公開され、それらすべての作品が高い興行成績を残している。この一連の映画作品は、我が国においては、「007シリーズ」として上映されている。
(3)映画「007シリーズ」は、毎回作品が公開されるたびに登場する商品が話題になり、大規模なタイアップキャンペーンが行われ、そのタイアップキャンペーン及びタイアップ商品に引用商標が使用されている。
(4)このような状況を勘案すると、引用商標は、著名な映画「007シリーズ」を想起させ、かつ、申立人が同映画シリーズに関する商品化事業に係る商品を表示する標章として、日本国内における需要者の間に広く認識されていたものということができる。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標
本件商標は、その構成文字から、具体的な意味合いを認識させるものとはいい難いことから、本件商標は、特定の意味合いを生じない一種の造語というべきである。してみれば、本件商標はその構成文字に相応して、「ガンドライブ」の称呼のみを生じるものというべきであり、特定の観念は生じない。
(2)引用商標
引用商標は、申立人が共同所有する著名な映画「007シリーズ」を想起させるものであるから、これより「ゼロゼロセブン」の称呼及び映画「007シリーズ」の観念が生ずる。
(3)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とを比較するに、外観においては明確に区別し得る。また本件商標から「ガンドライブ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないのに対し、引用商標からは、「ゼロゼロセブン」の称呼及び映画「007シリーズ」の観念が生ずるから、両商標は、称呼においては聞き誤るおそれはなく、明確に聴別することができるものであり、観念においては、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、非類似の商標といわなければならない。
なお、本件商標は、第7類「動力付き手持ちドライバー」を指定商品とするものであって、該商品は、スパイ映画とは、生産部門、販売部門、用途、需要者層等が大きく異なり、何ら関連性を有さない。
してみると、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、それから直ちに引用商標ないし申立人を想起、連想するようなことはなく、出所について混同を生ずることはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

平成29.03.31発行「審決」より  2017.5.29 ANDO

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