企業の営業企画とともに歩む。

商標関連情報

審決

「ATHLETE」(ガイドワイヤー) 医療関係者間で周知 

審判番号  無効2016-890048
確  定  日  平成29年(2017)1月25日

主な関連規程 商標法第4条第1項第10号、同項第11号

事案の概要
「Athlete Brains」と「アスリートブレーンズ」の文字を上下二段に横書きにした商標(「本件商標」)が、「医療機械器具の小売り役務」を含む多くの役務を指定して商標登録された。これに対して、「ATHLETE」及び「アスリート」なる商標(「引用商標1、2及び3)を「医療用機械器具」に登録し、これを「ガイドワイヤー」に使用して周知にしている者が、登録無効の審判を請求した。
なお、被請求人は、請求人の主張に対し、何ら答弁していない。

本件商標

TM_DISPLAY_A

指定役務
第35類 広告業 等、衣料品・飲食料品及び生活用品の総合小売り役務、薬剤及び医療補助品の小売り役務、医療機械器具の小売り役務 等
第41類 技術・スポーツ・又は知識の教授 等
第44類 入浴施設の提供、医業、医療情報の提供、医療用機械器具の貸与 等

引用商標1

JPJ3428890048_000001

指定商品
第10類 医療用機械器具(「ガイドワイヤー」に使用)

引用商標2

TM_DISPLAY_A

指定商品
第10類 医療用機械器具(「ガイドワイヤー」に使用)

引用商標3

JPJ3428890048_000002

指定商品
第10類 医療用機械器具(「ガイドワイヤー」に使用)

結  論
本件商標の指定役務中、第35類「医療機械器具の小売り役務」についての登録を無効とする。

理  由(要旨)
1 本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性について
(1)引用商標の周知性
ア 審判請求人は、医療用機器の輸入、製造並びに国内販売を主な事業として1981年2月6日に設立された会社であり、循環器系分野の医療用機器を提供しており、心臓ペースメーカーやEPカテーテル等のほかガイドワイヤーを取り扱っている。
イ ガイドワイヤーとは、PCⅠ(経皮的冠動脈形成術)と呼ばれる心臓カテーテル治療に用いられる医療機器である。PCIとは、腕や脚の血管からガイドワイヤーを心臓まで引き通して、そのガイドワイヤーをガイドとしてバルーンカテーテルを心臓の冠動脈まで押し込み、バルーンを膨らませることで冠動脈の塞栓等を解消する手術方法である。ガイドワイヤーは、薬事法上製造販売には独立行政法人医薬品医療機器総合機構への申請及び厚生労働大臣の承認が必要な医療機器であり、PCIを行う病院に直接販売する方法と、販売代理店経由で販売する方法がある。
ウ 審判請求人は、平成7年頃から、ガイドワイヤーに引用商標を始め、「ATHLETEPLUS」、「ATHLETE eel」、「アスリートプラス」等、「ATHLETE」又は「アスリート」を冠した商標を付し、これを「ATHLETE」、「アスリート」シリーズとして製造、販売している。
エ 審判請求人は、ガイドワイヤーの販売本数で、毎年5位以内にランキングされている。また、「ATHLETE」又は「アスリート」が冠された商標を付したガイドワイヤーは、学会誌等に多数回掲載されてる。
オ 以上を総合すると、「ATHLETE」及びこれを冠する商標は、需要者である医療関係者や医療用機械器具を取り扱う取引者の間に広く認識されていた。
(2)本件商標と引用商標との類似
本件商標は、「Athlete」(アスリート)と「Brains」(ブレイン)の2語からなるものとして容易に認識し把握される。加えて、「Athlete」及び「アスリート」の文字は、請求人の業務に係る商品「ガイドワイヤー」について使用する商標として、医療関係者や医療機械器具を取り扱う取引者の間に広く認識されていることから、出所識別標識として強く支配的な印象を与える。
そうすると、本件商標は、「アスリート」の称呼及び「運動選手、競技者」の観念を生じる。
そうすると、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念を共通にするものであるから、出所において誤認、混同を生ずるおそれがある類似の商標である。
(3)本件商標の指定役務と請求人の使用商品の類否
本件商標の指定役務中の「医療機械器具の小売り役務」と使用商標が使用された商品「ガイドワイヤー」とは、小売り等の役務とその商品の販売とが一般的に同一事業者によって行われることが多いことからすれば、役務の提供場所と商品の販売場所とを同一にする場合が多く、さらに、取引者、需要者を共通にするものであるから、両者は、類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
2 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標と引用商標とは、称呼及び観念を共通にする類似の商標である。
(2)本件商標の指定役務と引用商標の指定商品とは、類似する。
(3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定役務中、「医療機械器具の小売り役務」について商標法第4条第1項第10号及び同項第11号に該当する。

平成29.3.31発行「審決」より  2017.6.7 ANDO

 

 

 

あらゆるタイプの「商標登録」についてお気軽にご相談ください。

先頭に戻る
先頭に戻る