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商標関連情報

審決

「ももいちご」 苺の種類の普通名称ではない。

異議申立番号 異議2014-900023
確   定  日 平成29年(2017)4月27日

主な関連規程 商標法第4条第1項第10号

事案の概要
上段には、左側に「桜」の漢字、右側に図形、下段には、左側から「桃苺」の漢字を書してなる商標(下記「本件商標」)が「いちご」を指定商品として、商標登録された。
これに対して、「ももいちご」及び「さくらももいちご」と名付けたいちごを販売している者が、その名称が本件商標の出願及び登録査定に時に既に周知であったことを理由として、登録の取消を求めて、異議申立をおこなった。
これに対して、商標権者は、本件商標には、渦巻き模様等の図の部分も識別標識として機能すること、及び、「ももいちご」及び「さくらももいちご」は、苺の種類の普通名称であること等を根拠として、商標法第4条第1項第10号に該当しない旨主張した。

本件商標

JPJ7426900023_000001

指定商品
第31類 「いちご」

引用商標1

ももいちご

使用に係る商品
組合員が栽培した特定のいちご(商品1)

引用商標2

さくらももいちご

使用に係る商品
組合員が栽培した新たな特定のいちご(商品2)

結  論
本件商標の商標登録を取り消す。

理  由(要旨)
1 引用商標の周知性
申立人らは、JA徳島市の佐那河内支所の組合員であるところ、申立人は、大阪中央卸売市場大阪中央青果(大阪中央青果)の協力の下、新たないちごの開発に成功、平成4年にその生産を開始し、平成5年頃より当該いちごの販売を開始した。当該いちごに、引用商標1を、平成20年頃よりその姉妹品に引用商標2を使用している。
引用商標1については、テレビ番組、雑誌、新聞、インターネットにおいて、当該商標とともに商品1が紹介されており、引用商標2についても、テレビ番組、雑誌、新聞、インターネットにおいて、引用商標2とともに商品2が紹介されている。
これらの事実から、引用商標は、本件商標の登録出願時および登録時には、取引者、需要者に広く知られるに至っていた。
2 本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標は、何を表した図形であるか直ちに理解し得ない図形部分を捨象して、「桜」及び「桃苺」の漢字部分に着目して「サクラモモイチゴ」の称呼を生じ、「桜と桃と苺」の観念を生じる。さらに、「桜」と「桃苺」の間に図形が介在しているところ、引用商標1の周知性をも踏まえ、下段に表示されている「桃苺」の漢字部分に相応して、「モモイチゴ」の称呼をも生じ、「桃と苺」の観念を生じる。
本件商標は、引用商標1及び引用商標2とは、外観、称呼及び観念を総合的に観察すると、相紛れるおそれがある類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものといえる。
3 普通名称の主張について
引用商標1は、JA徳島市の佐那河内支所の特定の組合員が栽培したいちごを表示するものとして、我が国の取引者、需要者に広く知られるに至っているものであって、「苺」の普通名称ということはできない。
引用商標2は、当該商標を使用した商品2は、「ももいちご」の姉妹品とされるものであり、商品1の販売が、平成5年より行われて既に周知となっていることから、引用商標2も、申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く知られていたといえる。そうすると、引用商標2は、JA徳島市の佐那河内支所の特定の組合員が栽培したいちごを表示するものとして我が国の取引者、需要者に広く知られるに至っているものといえる。
4 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものである。

平成29.5.26発行「審決」より 2017.6.28 ANDO

 

 

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