商標関連情報
動き商標 初の審決 歯周病菌死滅の様子には識別機能なし
異議申立番号 異議2016-900126
確 定 日 平成29年(2017)3月13日
主な関連規程 商標法第3条第1項第3号
事案の概要
歯磨き等を指定商品として、歯周病菌が破裂する様子を示す一連の顕微鏡写真の画像が、「動き商標」(注)として商標登録された。これに対して、歯磨き等については、歯周病菌を死滅させることが商品の作用効果であって、自他商品識別の機能を果たさないので、商標法第3条第1項第3号に該当するから、この商標登録は取消されるべき旨の異議の申立てがなされた。
商標権者は、審判の取消理由に対して、次の理由に基づいて、本件商標は、自他商品識別標識の機能を果たし得るので、商標法第3条第1項第3項に該当しない旨主張した。
(商標権者が述べた理由の要点)
(1)本件商標は細菌を模した落花生状の物体の詳細な表現であること、及び、1つの物体を大きく目立つように配して破裂する構図と表現に、独創的な特徴を有する。(2)本願商標がわずか1秒以内だから、殺菌等の仕組みを動画として理解させるものではなく、抽象的・暗示的にしか意味合いを伝えておらず、本件商標の特徴が需要者の印象に強く残るものである。
本件商標
商標の説明
本件商標は、動き商標である。図1から図3にかけて、細菌を模した物体が破裂する様子を表している。この動きは、全体として約1秒間である。
指定商品
第3類 「歯磨き,洗口液,口臭用消臭剤,せっけん類,化粧品,香料,薫料」
第21類 「歯ブラシ,電動式歯ブラシ,化粧用具,デンタルフロス」
結 論
指定商品中、第3類「歯磨き,洗口液,口臭用消臭剤」についての商標登録を取り消す。
その余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由(要旨)
本件商標は、繊毛の生えた楕円形状からなる細菌の図形と「歯周病予防」、「(殺菌+抗炎症)」及び「イメージ図」の文字とを横長矩形内に表してなるものである。この構成中の文字部分は、図1ないし図3の細菌の図形が歯周病予防に関するイメージ図であることを説明するものと理解される。図形部分は、歯周病の原因となる細菌の写真と外見上の特徴を写実的に描いたものと理解される。この図案化の程度は、一般的なイメージを超えるほど特徴的なものではない。
指定商品中「第3類 歯磨き,洗口液,口臭用消臭液」は、歯周病の原因となる細菌の殺菌を効能とする商品である。
本件標章(本件商標(動き商標)を構成する標章)は、第3類「歯磨き,洗口液,口臭用消臭剤」との関係においては、単に商品の効能を表したものと理解されるものであって、それが時間の経過に伴って変化する状態も、商品がその効果を発揮する仕組みを分かりやすく表したものにすぎない。してみれば、本件商標は、その商品が歯周病の予防やその症状に効果があるという商品の効能を普通に用いられる方法で表したものにすぎない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の第3類「歯磨き,洗口液,口臭用消臭剤」について、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものである。
なお、(1)細菌の図形は、多少の図案化が施されているとしても、一般的なイメージ図形の範疇を超えるほどの特徴的なものとはいい難い。また、破裂する構図についても、単に細菌が破裂あるいは粉砕して消滅しかかっているところを表したにすぎないから、特徴的といえる構成要素を見いだすことはできない。(2)本件商標が1秒間にとどまっている点については、これに接する一般消費者は、歯周病の原因となる細菌が破裂する変化を約1秒間で表したものと理解するにとどまる。
商標法第3条第2項の適用の主張については、省略。
注:「動き商標」商標に係る文字、立体的形状等が変化するものであって、その変化の前後にわたるその文字、立体形状等からなる商標のうち、時間の経過に伴って変化するもの。
平成29.6.30発行「審決」より 2017.7.24 ANDO
注:「動き商標」 図形・立体的形状又は色彩等が変化するものであって、その変化の前後にわたる時間の経過に伴って変化する商標