商標関連情報
「F1」(モーターレース) 「F1ヒーター」(電気ヒーター)は混同する
事件の表示 異議2016-900251
確 定 日 平成29年(2017)4月24日
主な関連規程 商標法第4条第1項第15号
事件の概要
「F1ヒーター」なる商標が、電気ヒーター類の商品について登録された。これに対して、国際自動車連盟が主管するモーターレースであるF1世界選手権に関する商標を保有・管理している者が、その取消を求めて異議の申立てを行い、次のように主張した。
(異議申立ての要旨)
本件商標は、F1世界選手権の通称として我が国の需要者間に広く知られている『F1』の文字を含んでいるから、本件商標を指定商品に使用したときには、国際自動車連盟の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
この主張に対して、商標権者は、意見を述べていない。
本件商標
FIヒーター (標準文字)
指定商品
第11類 電気ヒーター,床暖房用電気ヒーター,農業ハウス用電気ヒーター 等
引用使用標章
(国際自動車連盟が主管している自動車レース及び競争用自動車の標章)
結 論
本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。
理 由(要旨)
1 「F1」標章の著名性について
「Formula 1」は、国際自動車連盟が制定したレース用自動車に関する規定の下で、1950年にスタートして以来、現在に至るまで継続的に開催されてきた自動車レース及び競争用自動車を指称するもので、「F1」と称されており、世界の様々な地域で開催される一連のレースによって構成されている。
当該自動車レースは、我が国において、1976年に富士スピードウェイで開催され、1987年からは、鈴鹿サーキットにおいて再開されており、その模様が、テレビを通じて放送された他、「F1」の標章を使用して自動車関連の映画、ゲーム、雑誌等が販売されている。
してみると、「F1」は、我が国の需要者間に広く知られていたといえる。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標中の「ヒーター」の文字は、商品を表す語であるから、自他商品の識別標識として機能しない。そのため、本件商標は、需要者間に広く知られている「F1」を含むものと認識される。
してみれば、本件商標を指定商品に使用するときは、その取引者、需要者は、国際自動車連盟と関係がある商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の該当する。
平成29.6.30発行「審決」より 2017.8.16 ANDO