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商標関連情報

審決

「F1](自動車レース) 「F1H20」は混同を生じるおそれはない

審 判 番 号 無効2009-680003
確 定 日  平成22年(2017)12月3日

主な関連規程 商標法第4条第1項第15号

事案の概要
「F1H20」なる商標(下記)が、サングラス、衣服、放送、教育等を指定して登録された。それに対して、 「Formula 1」による自動車レースを主催してきた国際自動車連盟が、以下の理由に基づいて、登録無効の審判を提起した。
(登録無効の理由の概要)
「エフワン」はF1カーによる国際自動車レース及びその専用車両を指称するものとして著名である。
これに対して、本件商標は、容易に「エフワン」と称呼できる「F1」のデザイン文字をその語頭の含むものである。また、本件商標の後半部の「H2O」は水を表す化学式として知られており、「F1」と意味のつながりはない。
ラジオ及びテレビジョンによる放送等において本件商標を使用してF1レースが放送される場合には、商品・役務の出所について誤認・混同が生じる。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第第15号に該当する。

本件商標

TM_DISPLAY_A

指定商品
第 9類 「Sunglasses and spectacles」 等
第25類 「Clothing,footwear,headgear」
第38類 「Broadcasting by radio and telivision」 等

引用使用標章

無題F1図

使用役務
自動車レース

結  論
本件審判の請求は、成り立たない。

理  由
(1)「F-1」の表示について
国際自動車連盟「FIA」は、「Formula 1」による自動車レース   「FIA Formula One        World Championship」を1950年に開催して以来、継続して開催し、本件自動車レースは、年間10数戦が我が国を含め、世界各地で行われてきた。
本件自動車レースの模様は、我が国において、テレビ、新聞、雑誌を通じて報道されるほか、当該レースのDVDの販売、書籍の発行が行われてきた。これら報道において、本件自動車レースは、「エフワン」と略称され、「F1」及び「F―1」の略称を用いて表記されている。
FIAは、上記標章を本件自動車レースのオフィシャルマークとし、オフィシャルマガジンに使用し、また、該標章による商品化事業を行い、帽子、Tシャツ、ステッカー、キーホルダー、バッグ等が販売された。
FIAの行う自動車レースは、我が国を含め広く知られていると認められ、また、該自動車レースは、その使用車種が 「Formula 1」であることから、「Formula 1」若しくは、これを略した「F-1」及び「F1」の標章も本件自動車レースも略称として、使用され、F1標章は、広く知られている。
一方で、「F1」は、欧文字と数字のわずか2字の組み合わせであるから、極めて簡単かつありふれたものといえるものであり、また、欧文字1字「F」は、特定の意味合いの記号としても採択使用されるものであり、「F1」は、その意味合いに係る特定の種類を表す語として使用されるものであるほか、商品の品番等の符号等として使用され、そのような符号等であると認識されることも多い。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、外観上まとまりよく一体的に表してなるものであり、数字が第2番目と第4番目に配されているものであって、一見して構成全体が一つの造語として認識される。また、構成全体より生ずる「エフワンエッチツーオー」の称呼もよどみなく一連に称呼し得る。そうすると、本件商標は、構成全体をもって一体不可分の商標として把握される。そして、本件商標は、特定の観念を生じない。
後半部の「H2O」については、化学式に使用される数字は、原子の数を表し、添え字として小さく標記されるところ、本件商標はそれぞれの字を同じ大きさで表してなるものであり、この部分が「水」を表すものと認識されるとはいえない。また、「F」及び「1」は日常頻繁に使用されるものであるから、「F1」の部分は、文字列の中に埋没して客観的に把握されない。
本件商標の指定役務に係るテレビジョンによる放送やインターネットによる映像の送信は、自動車レースをはじめとするスポーツを内容とする放送を含むものであり、請求人の業務に係る自動車レースの開催とは、自動車レースに興味を有する需要者を共通にするなどの関連性があることを考慮しても、役務の出所について混同を生ずるおそれがある商標ということができない。

なお、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第19号、同第10号及び同第11号にも該当しない。詳細は省略。

平成29.7.28発行「審決」より 2017.9.1 ANDO

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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