商標関連情報
「umbro」(スポーツ用品等) 「UMBROID」中の「ID」はインターネット用語、混同のおそれ
事件の表示 異議2016-900307
確 定 日 平成29年(2017)6月19日
主な関連規程 商標法第4条第1項第15号
事案の概要
「UMBROID」なる商標が、かばん類、傘等を指定商品として登録された。これに対して、「umbro」の文字商標や二重菱形図形と「umbro」の文字を組み合わせた商標等を「サッカー用品、サッカーウエアー」に使用している者が、その商標が著名であることを主張して、登録の取消を求めて異議を申し立てた。
本件商標
UMBROID (標準文字)
指定商品
第18類 皮革製包用容器,かばん類,携帯用化粧道具入れ,傘,つえ,愛玩動物用被服類 等
引用使用商標1
引用使用商標2
引用使用商標3
引用使用商標4
結 論
本件商標の登録を取り消す。
理 由(要旨)
(1)引用使用商標の著名性について
「UMBRO」ブランドは、1924年にイギリス北西部のハンフリー・ブラザーズ社(アンブロ・インターナショナル社の前身)により生み出されたフットボールブランドで、申立人は、1998年にアンブロ・インターナショナル社から日本における商標権を譲り受け、1999年より両者の協力体制のもと日本国内においてアパレル商品、シューズ、バッグ等の販売促進を図ってきた。
我が国におけるプロサッカーリーグであるJリーグが開催されて以来のサッカー競技の人気の高さ及び引用使用商標が選手のユニフォームやバッグなどの商品やビルボード広告に表示され、一般需要者の目に触れる機会が多いことを考慮すれば、当該商標は、サッカー愛好者を含むファッション関連の需要者の間に広く認識されている。
(2)本件商標と引用使用商標との類似性について
ア 本件商標
本件商標の語尾の「ID」の文字は、「複数の利用者を識別するための符号」を意味するインターネット用語として広く知られている語であり、自他商品の識別標識としての機能を有しないか又は極めて弱いといえる。
また、本件商標の「UMBRO」の文字は、我が国におけるスポーツ、ファッション関連分野の取引者、需要者の間に広く認識されている「umbro」、二重菱形図形と「umbro」等の引用使用商標の文字に相応し、「アンブロ」の称呼が生じるものであって、これよりは、申立人商品を連想、想起し、申立人の著名な「アンブロブランド」の観念を生じる。
イ 引用使用商標
引用使用商標は、いずれからも「アンブロ」の称呼を生じるものであり、また、申立人の業務に係る商品を表すものとして、我が国のスポーツ、ファッション関連分野の取引者、需要者の間に広く認識されているものであるから、申立人の著名な「アンブロブランド」の観念を生じ得る。
ウ 両商標の類似性
本件商標と引用使用商標とは、外観において「ID」の有無において相違するところがあるとしても、「UMBRO」の綴りを同じくし、「アンブロ」の称呼及び申立人の著名な「アンブロブランド」の観念を共通にするものであるから、両商標の類似性は非常に高い。
(3)出所混同のおそれについて
引用使用商標は、我が国のスポーツ、ファッション関連分野の取引者、需要者の間に広く認識されているものであり、かつ、両商標は類似性が非常に高い。そして、本件商標の指定商品と申立人商品とが密接な関係を有し、それらの取引者、需要者も共通にする場合が多いことなどを併せ考慮すれば、本件商標をその指定商品について使用した場合には、その出所について混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
なお、上記の取消し理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べていない。
平成29.8.25発行「審決」より 2017.10.6 ANDO