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商標関連情報

審決

円の中にVW図形(フォークスワーゲン自動車) 「V&W」は混同しない

事件の表示 異議2017-900009
確 定 日 平成29年(2017)7月13日

主な関連規程 商標法第4条第1項第11号、同第15号

事件の概要
「V&W」なる商標が、自動車用マフラーの部品及び付属品、自動車エンジン用のオイルフィルター及びエアーフィルター、自動車用スピードメーターを含む多種の商品の小売り役務を指定して商標登録された。
これに対して、円の中に「V]と「W」を上下に配してなる図形(下記)を自動車のエンブレム等に使用してきたドイツの自動車メーカーが、本件商標の要部が「VW」であるので類似すること及び混同を生じる恐れがあることを理由として、登録の取消しを求めて異議を申し立てた。

本件商標

V&W (標準文字)

指定役務
第35類 自動車用マフラーの部品及び付属品,自動車用エンジン用のオイルフィルター及びエアーフィルター,自動車用スピードメーター他多種商品の小売り役務

引用商標1及び4

JPJ7429900009_000001

引用商標2

JPJ7429900009_000002

引用商標3

TM_DISPLAY_A

各引用商標の指定商品 省略

結  論
本件商標の登録を維持する

理  由(要旨)
1 引用商標の周知性について
申立人は、1937年から自動車の製造販売をしているドイツの企業であり、申立人の自動車は、我が国においては、1953年から販売が開始され、近年の車名別輸入車新規登録台数(乗用車、貨物、バス合計)では、2006年度ないし2014年度は第1位、2015年度は第2位、2016年度は第3位であって、よく知られたドイツの自動車メーカーである。
引用商標1、引用商標4及び引用商標2(エンブレム)は、遅くとも1978年から実質的に同一といえる商標を現在まで継続して使用しており、申立人に自動車とともに、新聞、雑誌インターネットの記事に取り上げられてきたと推定できる。
したがって、引用商標1、引用商標4及び引用商標2は需要者の間に広く認識されている商標である。
引用商標3は、新聞記事、雑誌記事及びインターネット記事においては、「フォルクスワーゲン」の語が一緒に用いられていること及びその構成が欧文字2字という簡単な構成であることをあわせみれば、該「VW」の文字単独では、申立人の自動車あるいは申立人の略称として需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、その構成文字は、標準文字により、同書、同大、同間隔でまとまりよく一体的に表され、全体として冗長でなく一連に称呼し得るものであるから、「ブイアンドダブリュー」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない。
(2)引用商標1、引用商標4及び引用商標2について
ア 引用商標1及び引用商標4について
引用商標1及び引用商標4は、全体がまとまりよく一体的に構成されており、円と鋭角に折れ曲がった直線から構成された一種の幾何図形を表したものと認識し把握されるから、該図形から特定の称呼を生じない。
そして、申立人のハウスマークとして需要者の間に広く認識されているから、申立人のハウスマークの観念を生じる。
イ 引用商標2について
基本的な構成は、引用商標1と同一であり、引用商標1の幾何形図形部分に厚みがあるように陰影をつけ、やや立体的に表現した図形とみるのが相当であるから、引用商標1と同一視できる。
してみれば、引用商標2は、特定の称呼を生ぜず、申立人のハウスマークとしての観念を生じる。
(3)本件商標と引用商標1、引用商標4及び引用商標2の類否について
外観においては、明らかに異なり、相紛れるおそれはない。
称呼においては、引用商標1、引用商標4及び引用商標2からは、特定の称呼は生じないから、相紛れるおそれはない。
観念においては、本件商標は、特定の観念を生じないから、観念上比較できない。
してみれば、本件商標と引用商標1、引用商標4及び引用商標2は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標1、引用商標4及び引用商標2の周知性について
引用商標1及び引用商標2は、上記1記載のとおり、需要者の間に広く認識されている。
(2)本件商標と引用商標1、引用商標」4及び引用商標2の類否について
上記2(3)で記載のとおり、本件商標と引用商標1、引用商標4及び引用商標2とは、別異の商標である。
(3)本件商標と引用商標3について
2文字と3文字という少ない文字構成の商標における「&」の記号の有無は、外観上顕著な差異として印象付けられるものであり、本件商標と引用商標3とは、外観上相紛れるおそれはない。
称呼においては、一般に欧文字2字を普通に用いられ方法で表したものは、自他商品識別力を有さず、出所識別標識としての称呼を生じないといえるから、引用商標3からは、特定の称呼を生じないとみるべきであるから、称呼上、相紛れるおそれはない。
観念においては、両商標とも、特定の観念を生じないものであって、比較できない。
してみれば、本件商標と引用商用3とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標である。
(4)本件商標と引用商標1、引用商標4及び引用商標2の出所の混同について
上記2(3)で記載のとおり、本件商標と引用商標1、引用商標4及び引用商標2とは、まったく別異の商標というべきであるから、引用商標1、引用商標4と引用商標2の著名性の有無にかかわらず、本件商標は、これに接する取引者、需要者が引用商標1、引用商標4及び引用商標2を連想又は想起するものということはできない。
してみれば、本件商標と引用商標1、引用商標4及び引用商標2とは、その役務について混同を生ずるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

平成29年8月25日発行「審決」より  2017.10.11 ANDO

 

 

 

 

 

 

 

 

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