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商標関連情報

審決

「ウインクした笑顔の簡潔な線図」(被服) 特定の称呼・観念を生じない

種  別   異議の決定
異議申立番号 異議2017-900058
確 定 日  平成29年(2017)9月29日

主な関連規程 商標法第4条第1項第11号

事案の概要
全体として円輪郭の人の顔であって、左目をウインクし、口を左側に寄せて左口角を上げた笑顔を表現した図形(下記本件商標)が、「被服、履物」を指定商品として、商標登録された。
これに対して、全体として円輪郭の人の顔であって、左目をウインクし、左右口角を大きく上げた笑顔を表現した図形(下記引用商標1)及び円輪郭を有しない他は同様の図形(下記引用商標2)を登録している商標権者が、類似することを理由(下記)として、登録の取消しを求めて審判を提起した。
(類似する理由の要旨)
1 本件商標と引用商標1について
本件商標と引用商標1とは、基本的構成要素において極めて近似しており、「口」及び「口元」表す線の構成は、、引用商標1における「口」及び「口元」を表す線の左半分を単純に削除しただけのような構成を有しており、本件商標は、引用商標1と比較して独自性のある特徴部分を何ら含んでいない。その他、各構成要素の大きさや配置における微差はあるものの、こうした微差の変更により、引用商標1との類似を免れるとするのは妥当でない。
2 本件商標と引用商標2について
引用商標2は、「顔の輪郭を表す円図形」が省略されている点を除けば、引用商標1とほぼ同一の構成である。その外観は「左目でウインクする人の笑顔」を簡潔に表現してなる印象を与えるものである。引用商標1と同様に、微差の変更により引用商標2との類似を免れるとするのは妥当ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

本件商標

JPJ7429900058_000001

指定商品 第25類 「被服,履物」

引用商標1

JPJ7429900058_000002

指定商品 第3類,第16類及び第25類 「被服、履物」 等

引用商標2

JPJ7429900058_000003

指定商品 第25類 「被服,履物」 等

結  論 本件商標の登録を維持する。

理  由(要旨)
1 本件商標と引用商標1の比較
本件商標と引用商標1を比較すると、いずれも円輪郭の人の顔であって、左目をウインクしてなる笑顔を、簡潔かつ象徴的に表現してなる点において共通する。しかし、両商標のいずれにおいても構成上比較的大きな範囲を占める口に相当する部分の表現方法が異なる。また、両商標の右目に相当する部分の表現方法が異なり、本件商標では、右目が大きく見開いている印象を与えるのに対して、引用商標1では、右目が小さくつぶらに描かれている印象を与えるものである。
両商標は、口及び目より受ける印象の相違から全体として異なる表情を描いてなるものと認識、看取されるものであって、外観上相紛れるおそれはない。
また、両商標は、全体として円輪郭の人の顔であって、左目をウインクし、口角を上げた笑顔を、簡潔かつ象徴的に表現してなる印象を与る。このようなモチーフの描写方法や描写態様は多種多様であり、当該図形部分をして直ちに特定の図案やキャラクターを描いたものとも認識し得ないから、これにより特定の称呼及び観念は生じない。
そのため、本件商標は、引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似する商標ではないから、相紛れるおそれがない非類似の商標である。
2 本件商標と引用商標2の比較
本件商標と引用商標2を比較すると、左目をウインクしてなる人の笑顔を、簡潔かつ象徴的に表現してなる点において共通するとしても、両商標には、円輪郭の有無において顕著に相違し、口及び目より受ける印象の相違(上記引用商標1と同様)から、全体として異なる表情を描いてなるものと認識・看取される。両商標は、人の表情を口及び目のみで表現するシンプルな構成であることもあり、これらの差異が全体の印象に与える影響は大きく、全体として外観上相紛れるおそれはない。また、両商標は、特定の図案やキャラクターを描いたものとも認識し得ないから、これより特定の称呼及び観念は生じない。
そのため、本件商標は、引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似する商標ではないから、相紛れるおそれがない非類似の商標である。

平成29年9月29日発行「審決」より  2017.11.2 ANDO

 

 

 

 

 

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