商標関連情報
「オリンパス」と「ジーオリンパス」とは、混同する。
事案の概要
製紙会社(被請求人)が、商標「ジーオリンパス」を特許庁に登録出願し、審査ではこれを登録した。この登録について、オリンパス株式会社(請求人)が、「オリンパス」がハウスマークとして、また、カメラ等の精密機器等の商標として著名であることに基づいて、混同を生ずるおそれがあることを理由として登録の無効の審判を提起した。被請求人は、本件商標の指定商品(紙類)と精密機器等とは、生産者、需要者等を異にするので、混同を生ずるおそれはない等を主張して反論した。
本件商標 ジーオリンパス(標準文字)
指定商品 紙類
無効理由の根拠とした商標
OLYMPUS, オリンパス
(請求人及びグループ会社のハウスマーク、カメラ等の精密機器に商標として著名)
結 論 登録を無効とする。
理由の要旨
請求人は、顕微鏡の国産化等の光学機器の製造・販売を目的として大正8年に設立された株式会社高千穂製作所を前身とし、昭和24年にオリンパス光学工業株式会社に社名変更し、平成15年に現在の社名に変更した。請求人及びそのグループ会社の製造販売に係る光学機器、医療機器は、日本及び世界において高い市場占有率を有している。
請求人商標は、請求人及びグループ会社のハウスマークとして、また、デジタルカメラ等の精密機器、医療機器を表示するものとして、著名である。本件商標の中の「オリンパス」の部分が、請求人の商標を想起させる場合があり、両商標は類似性の高いものである。商品の関連性については、デジタルカメラのユーザーが撮影した写真データを印刷用紙に印刷することも多いから、本件商標の指定商品である紙類とデジタルカメラとの間には関連性があるし、需要者も一部共通する。このような状況を考慮するとき、本件商標を紙類に使用すると、取引者、需要者は、当該商品が、請求人との間に親会社や系列会社やグループ会社を出所とする商品と誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。。
本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
平成28.5.27発行「審決」より 2016.6.6 ANDO