商標関連情報
「G・U・M」(歯磨き) 「ガムワン/GUM ONE」は非類似
種 別 異議の決定
異議申立番号 異議2017-900094
確 定 日 平成29年10月6日
主な関連規程 商標法第4条第1項第11号及び同項第15号
事案の概要
「ガムワン」と「GUM ONE」とを2段書きにしてなる商標(下記「本件商標」)が、「歯茎マッサージ具」を指定商品として登録された。
これに対して、「G・U・m」なる商標を「歯磨き」を含むオーラル製品に使用し著名となっている商標の商標権者が、本件商標は自己の登録商標と類似し、かつ、自己の商標が著名であるため混同を生じるおそれがあることから、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当することを理由として、登録の取消しを求めて異議を申し立てた。
本件商標
指定商品
第21類 歯茎マッサージ具
引用商標1
指定商品
第21類 歯ブラシ 等
引用商標2
指定商品
第 3類 歯磨き 等
第21類 歯ブラシ等
引用商標3
指定商品
第3類 歯磨き 等
引用商標4~8 省略
結 論
本件商標の登録を維持する。
理 由(要旨)
1 「G・U・m」(ガム)の周知著名性について
「G・U・m」のロゴ及び文字、並びに、それらの読みを表した「ガム」の各標章は、多少のデザインの変更があるものの、1989年の使用開始以来、使用者サンスターにより、商品「歯磨き」を含むオーラルケア製品に使用され、新聞、雑誌やテレビなどのマスコミにおいて多岐広範にわたる宣伝広告が継続的に行われ、その結果、当該オーラルケア製品は、1989年の発売以来、売り上げを伸ばし続け、その売上額は毎年200億円を優に超えており、市場占有率も、洗口液が国内1位、歯ブラシが国内2位など、上位を維持しており、商品「歯磨き」を含むオーラルケア製品の取引者、需要者の間において周知著名になっていた。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
ア 本件商標の構成中、「ONE」(ワン)の語に、代名詞(数詞)として「1つ、1人、1個」等の意味が、名詞として「1、1の数字、1つのもの」等の意味があるとしても、その構成中の「ONE」及び「ワン」の文字を単なる商品の記号、符号として理解、認識するものとは考え難く、むしろ、「GUM」(ガム)の語も「チュウーイングガム」の略語として広く知られていることを踏まえれば、取引者、需要者は、本件商標の片仮名部分及び欧文字部分をそれぞれ一体の造語を表したものと理解、認識するものとみるのが、自然であり、全体として特定の観念を生じない。
イ この点に関し、申立人は、次のように主張する。
本願商標中の「GUM」の文字部分が引用商標に係る「G・U・m」及び「ガム」を連想させる語として強く支配的な印象を与えるとともに、「ONE」及び「ワン」の文字部分が出所識別標識としての称呼、観念が生じないことから、「GUM」及び「ガム」の部分が要部として抽出される。
しかし、申立人の業務に係るオーラルケア製品について使用され、取引者、需要者の間で広く知られている標章は、「G・U・m」のロゴ及び文字並びにそれらの読みを表した「ガム」の文字であって、「GUM」及びその読み「ガム」とは異なるから、「G・U・m」のロゴ及び文字並びにそれらの読み「ガム」の文字を想起させるものということはできない。
ウ したがって、本件商標は、「ガムワン」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない。
(2)引用商標
「G・U・m」及び「ガム」の各標章は、使用者サンスターの業務に係る商品を表示するものとして周知著名であるから、「ガム」の称呼を生じ、「使用権者サンスターの業務に係るオーラルケア製品のブランド」の観念を生じる。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを対比するに、「ONE」及び「ワン」の文字の有無という明白な差異を有するから、外観において相違する。
次に、本願商標から生じる「ガムワン」の称呼と引用商標から生じる「ガム」の称呼は、語尾の「ワン」の有無という顕著な差異を有するから、称呼において相違する。
さらに、本件商標から特定の観念が生じないのに対し、引用商標からは「使用権者サンスターの業務に係るオーラルケア製品のブランド」の観念が生じるから、観念において相違する。
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標に係る「G・U・m」及び「ガム」の周知性を考慮したとしても、本願商標と引用商標とは非類似の商標であって別異のものであるから、本件商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標ないしは申立人らを連想、想起することはない。
そうすると、その出所について混同を生ずるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
平成29年11月24日発行「審決」より 2017.12.28 ANDO