商標関連情報
豪華客船タイタニック号沈没直前の手紙 商標登録される
拒絶査定不服審判
主な関連規程 商標法第4条第1項第15号
事案の概要
豪華客船タイタニック号に乗船していた者が書いた手紙の1頁目を商標として登録出願したところ、審査では、次の理由(要旨)で拒絶査定した。
(拒絶理由の要旨)
本願商標は、タイタニック号の衝突当日の書かれた手紙としては,現存する唯一のものとして財産的価値が非常に高く,この手紙の価値,話題性を考慮すると,その真正な所有者であると確認できない出願人に商標登録を認めたときは,需要者は,真正な所有者と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法4条第1項第15号に該当する。
出願人は,この拒絶査定に対して、取消しを求めて審判を提起した。
本願商標
指定商品 第18類 かばん類,袋物,財布 等
引用手紙の画像
結 論
原査定を取り消す。本願商標は,登録すべきものとする。
理由の要旨
本願商標は,便箋に書された手紙を表したものであり,引用手紙の画像と,その構図や文字,色彩等細部にわたって共通し,構成の軌を一にする。
引用手紙は,1912年に沈没した豪華客船タイタニック号の乗客が船内で書いた現存する唯一の手紙であり、2014年に英国で競売にかけられた結果,高値(約2千万円)で落札され,我が国においても、落札直後に引用手紙に関するニュースが複数の新聞記事やインターネットに掲載されたことにより,広く世間に知られた。
しかしながら,引用手紙についてメディアが報じたのは.ほぼ2014年4月28日の一日限りとみられ,その後継続して報道されている事実も確認できないから、引用手紙は,一時的にその存在が知られたにすぎず、現在まで継続して周知・著名性を有しているとはいい難い。また、引用手紙の落札者も明らかにされておらず,真正な所有者が不明であることから、他人が引用手紙を業として使用しているとも認められない。
そうすると,引用手紙が,特定の者の業務に係る商品又は役務を表示ものとして,需要者の間に広く認識されているものということはできないから、これをもって本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものということはできない。
平成28.5.27発行「審決」より 2016,6,15 ANDO