企業の営業企画とともに歩む。

商標関連情報

審決

「KIRIN」(ビール・清涼飲料) 「キリンプロジェクト」(防犯カメラ等)は混同しない

種   別  異議の決定
異議申立番号 異議2017-900223
確 定 日  2017年10月20日

主な関連規程 商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第8号

本件商標

kirinn

指定商品
第 9類 録画一体型防犯カメラ,太陽電池,電池,電気通信機械器具,無線通信機械器具
第11類 照明用機械器具
第12類 荷車 手押し車 リヤカー

引用商標1

無題kirinn

指定商品
第 9類 理化学機械器具 電池 電気通信機械器具 等
第28類 遊戯用器具

引用商標2

KIRIN(標準文字)

指定商品
第12類 船舶並びにその部品及び付属品 手押し車 リヤカー 等

引用商標3

JPJ7429900223_000001

指定商品
第 9類 理化学機械器具 電気通信機械器具 等
第11類 電球類及び照明用器具 等
第35類 電気機械器具類の小売り役務
第5,7,10,28の各類

結  論
本件商標の登録を維持する。

理  由(要旨)
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標を外観及び称呼の面から捉えれば、構成全体として、一体不可分性の強い商標とみるのが相当である。また、本件商標中「キリン」の文字部分は、我が国の一般的な国民の認識の程度に照らすと、「アフリカに棲息する哺乳動物である麒麟」を表したと理解する場合が多いとみるのが相当であり、さらに、「プロジェクト」の文字部分は、「企画、研究計画」等を意味する語として、我が国の一般国民の間にもよく知られているものといえるから、本件商標は、せいぜい何らかの目的をもったプロジェクトの名称を表したと理解される程度のものといえる。そうすれば、本件商標は、その構成全体をもって、一体不可分の造語の一種を表したと認識されるというべきである。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「キリンプロジェクト」の一連の称呼のみを生ずるものであって、特段の観念を有しないものと認める。
キリングループの使用する「KIRIN」、「キリン」、「麒麟」及び「麒麟」の図形商標が、主として「ビール、清涼飲料」等の飲料製品を表示するものとして、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたことは認め得るとしても、これらの商標が、ビールや清涼飲料等の飲料製品と何ら関連性を有しない本件商標の指定商品を取り扱う分野において、その取引者・需要者の間に広く認識されていた事実を認めるに足りる証拠はない。したがって、本件商標中の「キリン」の文字部分のみを分離・抽出して考察すべき特段の理由は見いだせない。
本件商標は、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の著名性
(ア)キリンホールディングスの前身である麒麟麦酒株式会社は、明治40年2月に設立された企業であり、キリンホールディング及びその連結子会社188社と持分法適用関連会社18社によって構成されるキリングループを形成し、キリンホールディングすを持株会社として、綜合飲料事業、医薬・バイオケミカル事業等を行っている。そのうち、国内総合飲料事業においては、キリン株式会社(申立人)が国内綜合飲料事業の事業管理を、キリンビール株式会社がビール・発泡酒その他酒類等の製造・販売を、キリンビールマーケティング株式会社が販売マーケティング活動等を、メルシャン株式会社が酒類の輸入販売等を、キリンビバレッジ株式会社が清涼飲料の製造等をそれぞれ行っている。キリンホールディングスの178期(平成28年1月1日~同年12月31日)の連結売上高は、約2兆750億円であった。
(イ)麒麟(引用商標1)、「KIRIN」(引用商標3)、「キリン」(ゴシック活字)及び麒麟の図形は、キリングループの業務に係る「ビール、清涼飲料」等の飲料製品を表示するものとして、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていた。
イ 本件商標と引用商標との類似性
本願商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標である。
ウ 商品の本件商標の指定商品録画(一体型防犯カメラ等)と引用商標が使用される商品(ビール、清涼飲料)との関連性
両商品は、用途、品質、原材料等において異なるばかりでなく、その生産者、流通経路、取引系統、販売場所等においても大きく異なるから、関連性を有しないか、乏しい。
エ 出所混同のおそれ
申立人ら商標の著名性は、本件商標の指定商品を取扱う分野には及ばない。してみると、商品の出所について混同を主ず
るおそれがあるとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号には該当しない。
(3)商標法第4条第1項第8について
「キリン」の文字(語)は、商品「ビール、清涼飲料」等の飲料製品から切り離されたときは、その取引者、需要者は、キリングループを想起することはなく、「ウシ目キリン科の哺乳類」を意味する語として、把握・認識するといえる。
したがって、本件商標は、他人の著名な略称を含む商標には当たらないから、商標法第4条第1項第8号に該当するとは認められない。
(むすび)
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第8号のいずれにも違反して登録されたものではないから登録を維持すべきである。

平成29(2017).11.24発行「審決」より 2018.3.2 ANDO

あらゆるタイプの「商標登録」についてお気軽にご相談ください。

先頭に戻る
先頭に戻る