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商標関連情報

審決

「ターザン」(冒険小説・ジャングルの王者) 「ターザンマニア」は著作権消滅下国際秩序に反しない

種   別  異議の決定
異議申立番号 2017-900177
確 定 日  平成29年11月16日

関連規程 商標法第4条第1項第7号

事案の概要
(1)商標「ターザン」に関しては、先に次の判決が確定している。
種  別         審決取消訴訟
訴訟記号番号 平成23年(行ケ)第10399号(知的財産高等裁判所第2部)
判 決 言 渡      平成24年6月27日
原  告        本件異議申立人と同じ
登 録 商 標      「ターザン」(標準文字)
登 録 番 号    第5338568号
指 定 商 品    第7類 プラスチック加工機械器具 等
判  決      当該判決では、特許庁が無効2011-890013号事件において、当該商標登録は、商標法第4条第1項第7号に該当しない旨認定して請求を棄却した審決について、該登録は、公正な取引秩序を乱す旨の理由で、取り消した。なお、当該登録商標の登録査定時には、「ターザン」(冒険小説)について著作権が存続していた。
(2)本件は、上記判決における原告と同一人が、商標「ターザンマニア」の登録について、上記判決を引用して、登録の取消を求めて異議申立を行った。

本件商標

ターザンマニア(標準文字)

指定役務
第41類 技芸・スポーツ又は知識の教授,運動施設の提供、娯楽施設の提供 等

引用商標

ターザン

(冒険小説 アフリカのジャングルの王者として活躍した主人公の名)

結  論
本件商標の商標登録を維持する。

理  由(要旨)
1 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、「ターザンマニア」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同書、同大、同間隔で外観上まとまりよく一体的に表されており、これより生じる「ターザンマニア」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼できる。
そして、その構成中の「ターザン」の文字は「アメリカの作家バローズ(Edgar R・ Burroughs1875~1950)が1912年から連続して発表した冒険小説の主人公の名。アフリカのジャングルの王者として活躍。たびたび映画化され、32年、水泳選手ワイズミュラー(Johnny Weissmuller 1904~1984)が主演した映画で世界的に有名となる。」の意味を有し、「マニア」の文字は、「熱狂。熱中。夢中。一つのことに以上に熱中する人。」等の意味を有する語であるから、本件商標は、全体として「ターザンに熱中する人」程の意味合いを理解させる。
そうすると、本件商標の構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものではない。
さらに、商標権者が本件商標を「運動施設の提供、娯楽施設の提供」について使用することが、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するというべき事情は認められない。
さらに、先の審決取消請求事件(平23(行ケ)第10399号 審決取消請求事件 平成24.6.27判決言渡)の判決では、「ターザン」の文字について、著作権が存続しており、著作権管理団体による利用を排除できる商標登録は、その権利を半永久的に取得することになるから、公正な取引秩序の観点から相当でない(商標法第4条第1項第7号に該当)と判決されているが、本件商標は、「ターザン」の文字とは異なる「ターザンマニア」の文字からなること、また、本件商標の登録査定時(平成29年1月26日)には、既に「ターザン」シリーズの日本における著作権は消滅(2011(平23)年5月22日)していることから、該判決と同様の判断はできない。
また、ワーナーブラザー社により、新作の劇場版実写映画「THE LEGEND OF TARZAN」(邦題「ターザン:REBORN」)が日本においては、2016年7月30日に公開されたとするが、「ターザン」と申立人との関係が明らかになったといえないばかりか、日本における著作権も既に消滅している。
してみれば、本件商標は、他の法律によって、その使用等が禁止されているものでもなく、特定の国若しくはその国民を侮辱し、国際信義に反するものとも認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1号第7号に該当しない。
3 申立人の主張について
申立人は、「商標権者の目的は、申立人の商標『Tarzan(ターザン)』に化体した業務上の信用にフリーライドすべく、『Tarzan』又は『ターザン』という語を単独で積極的に使用し又は需要者に想起させることにあり、その目的の一環で登録されたと考えられる。本件商標「ターザンマニア」が、その構成自体は異議理由に該当しない商標であるとしても、不正(フリーライド)の目的を動機として登録されているため、その登録を取り消すことができなければ、公正な取引秩序が維持されず、公序良俗を害する」旨主張する。
しかし、本件商標は、「ターザンマニア」の文字からなり、一連に称呼できる。
そして、本件商標の構成中「マニア」の文字部分は、「一つの事に異常に熱中する人」等の意味を有する語であるから、役務の質を表す語と理解されることはないし、本件商標の構成態様からも「ターザン」と「マニア」の文字部分に分断すべき構成態様上の理由もないから、役務の出所識別標識として機能に著しい差異がある等の事情も見いだせない。
以上のとおり、本件商標「ターザンマニア」は、一体不可分の商標であり、公の秩序又は善良の風俗にの反するものではない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものではないから、その登録を維持すべきである。

平成29.12.28発行「審決」より 2018.3.19 ANDO

 

 

 

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