商標関連情報
「スポーツ大臣」(商標)は、国家行政の信頼を損ねる。
拒絶査定不服審判
関連規程 商標法第4条第1項第7号
事案の概要
「スポーツ大臣」を商標登録出願したところ、特許庁の審査では、この商標は、国家行政への信頼を損ねるおそれがあるものとして、登録を拒絶した。これに対して、出願人は、次のように主張して、審判を請求した。
国の行政機関であても「省」の長は「大臣」であり、「庁」の長は「長官」であって、「省」ではないものの長を「大臣」と認識されることはない。また、「スポーツ庁」の長は、「長官」であるから、「スポーツ大臣」が新設されたと誤認されることはない。したがって、国家行政への信頼を損なうおそれはないから、本件商標は登録されるべきである。
本件商標
スポーツ大臣(標準文字)
指定商品
第30類 菓子、パン、コーヒー、弁当 等
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由(要旨)
我が国には、スポーツ省という名称の行政機関はなく、スポーツ大臣という大臣も存在しない。しかし、スポーツに関する施策を総合的に推進するため、平成27年10月1日に文部科学省の外局としてスポーツ省が設置されたことから、スポーツに関する行政機関が存在することは、一般に知られている。
そして、外国において、「スポーツ大臣」という名称の大臣が存在することは、一般に知られている。
してみれば、行政機関の一部である「スポーツ」の文字と公的名称として用いられる「大臣」の文字からなる「スポーツ大臣」の文字からは、スポーツに関する行政機関の大臣という観念を想起させる。
したがって、本件商標は、「スポーツに関する行政機関の長」を示す公的な名称であるかの如く、需要者を誤認させるおそれがある。かかる商標を採択、使用することは、国家行政への信頼を損ねるとともに、商取引の秩序を乱すおそれがあり、社会公共の利益に反するものである。
本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
平成28.6.24発行「審決」より 2016.7.4 ANDO