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商標関連情報

審決

パンの袋閉じ用クリップ(形状) 立体商標として登録される

拒絶査定不服審判

関連規程 商標法第3条第1項第3号 同条第2項

事案の概要
商品の形状自体は、商標登録されないのが、原則であるが、例外的に、その商品が使用された結果、需要者がその商品が一定の者から出たものであると認識するに至った場合には、商標登録することができる。しかし、そのためには、日本国おいて、永年にわたって競業者もなく使用してきて著名であることといった厳しい要件が課せられる。
本件は、出願人が、永年販売してきたパン製品の袋や包装を閉じるためのプラスチック製クリップ等について、その形状を商標登録出願したところ、審査では、この商標は、指定商品の形状を普通に表示する商標であることを理由として拒絶査定された。これに対して、出願人は、この商標は、永年独占的に使用し著名であることを理由として、登録されるべきである旨主張して審判を請求した。

本件商標
パン製品の袋や包装をとじるためのプラスチック製クリップ(立体形状)

本願1

本願2

指定商品
第20類 パン製品の袋や包装をとじるためのプラスチック製クリップ,パン製品の包装用プラスティック製袋口止め具,パン製品の袋用プラスティック製口止具

結  論
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由(要旨)
本商標は、袋等を束ねるための中央の穴と袋等を穴に通すための切り込み部分からなるところから、一般に採用されている形状であるといえ、商標法3条1項3号に規定する拒絶理由に該当する。
しかし、本願商品の販売は、平成19年から現在に至るまでの約9年間にわたって製造され、毎年26億個程度販売されている。製パン業界主要三社である山崎製パン株式会社、敷島製パン株式会社及びフジパン株式会社の合計数でも年間約19億4千万個に達する。食パン製品の袋用の口止め具においては、100パーセント近いシェアを有しており、メーカーにおける認知度も9割に達している。そうすると、本願商標を、その指定商品「パン製品の袋や包装をとじるためのプラスチック製のクリップ」等について長年の間、継続的に使用された結果、需要者が、出願人の業務に係る商品であることを認識するに至ったものいうのが相当である。
よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、同条第2項の要件を具備するものであるから、原査定は取消を免れない。

平成28.6.24発行「審決」より  2016.7.29 ANDO

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