商標関連情報
カリフォルニア州旗と類似する商標は、カリフォルニア州の権威・尊厳を損ねる
拒絶査定不服審判
事件の概要
本願商標を商標登録出願したところ、特許庁は、本願商標が商標法第4条1項7号及び同法第4条第1項11号にするとして、登録を拒絶した。
本願商標(商願2014-96150)
本願商標の指定商品
第18類 かばん類、袋物、かばん金具、皮革製包装用容器、携帯用化粧道具入れ、傘、皮革
引用商標(登録第4062961号)
カリフォルニア州旗(審決公報より引用)
結論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由(要旨)
1 本願商標の構成
本願商標は、左上部に赤色の一つの星、中央部には左向きに歩行する茶色の熊、熊の足元には緑色の地面とおぼしき図形を配し、当該図形の元に赤色で「L.S.D.Designs」の欧文字を横書きした構成よりなるものである。
2 商標法第4条1項7号
商標法第4条1項7号は、商標の構成自体が、きょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合及び商標の構成自体がそうでなくとも、商標をその指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するものである場合、また、他の法律によってその使用等が禁止されている商標、特定の国若しくはその国民を侮辱する商標又は一般に国際信義に反する商標については、その出願を拒絶すべき旨を定めたものと解するのが相当である。
本願商標は、上記1の構成よりなるものである。
アメリカ合衆国カリフォルニア州の州旗は、左上部に赤色の一つの星、中央部には左向きの歩行する茶色の熊、熊の足元には緑色の地面とおぼしき図形を配し、図形の下に「CALIFORNIA REPUBLIC」の欧文字を横書きし、最下部には赤色の帯が配置されているものである。
本願商標の図形部分とカリフォルニア州旗における図形部分を比較するに、両者は、その構図や彩色等、細部にわたって共通するものであり、一見して酷似したものと看守されるというのが相当である。
そうすると、本願商標は、カリフォルニア州旗を容易に認識させるものといえるから、そのような本願商標について、一私人である請求人に登録を認め、その指定商品について営利目的で使用する権利を専有させることは、カリフォルニア州の権威・尊厳を損ねるものであり、かつ、国際信義に反するといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
3 商標法第4条1項11号
本願商標は、上記1の構成よりなる。
引用商標は、左上部に白色の一つの星、中央部に左向きに歩行する白黒の熊、熊の足元には白黒で地面とおぼしき図形を配し、当該図形の元に「CAL Bear(R)(審判注:(R)は○に「R」の文字が小さく付されていることを表す)」の文字を白黒で横書きしてなる。
本願商標と引用商標の図形部分は、これらを子細に観察すれば、いずれも「左上部に星が一つ配置され、地面の上を左方向に歩行する熊が中央に配置されている構図」として需要者の記憶に強く印象付けられているものといえるから、本願商標と引用商標は外観上、相紛らわしい商標というべきである。
また、本願商標と引用商標の図形部分は、いずれも特定の称呼及び観念を生じないから、称呼及び観念によっては、これらを区別することができない。
これらを総合的に勘案すれば、本願商標は、引用商標に類似する商標といえ、そして、本願商標の指定商品中「かばん類、袋物、携帯用化粧道具入れ、傘」は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。
したがって、本願商標は商標法第4条第1項11号に該当する。
平成28.7.29発行「審決」より 2016.8.31 FH