商標関連情報
「TOKIO」(アイドルグループの名称)は登録できない
拒絶査定不服審判
関連規程 商標法第4条第1項第8号
事案の概要
「TOKIO」を商標登録したところ、審査では、この商標は音楽グループの名称として知られている文字よりなり、その承諾を得ていないことを理由として、商標法4条1項8号に該当するものとして、拒絶査定された。これに対して、請求人は、査定の取消を求めて審判を請求し、以下の主張をした。
(請求人の主張の要旨)
(1)「TOKIO」の文字は、(ア)ドイツ語、スペイン語等で「東京」の表記音訳、(ロ)日本人の男性の名のローマ字表記、(ウ)歌手「沢田研二」氏によるヒット曲の曲名等、多義的でさまざまに観念される語であって、音楽グループ名の「TOKIO」のみを観念するものでない。
(2)該グループは、構成員がグループ活動する時に使う「ユニット名」であって、自然人でも法人でもない。定款や住所地、代表者等を定めて第三者に対する責任を果たせるような団体ではないから、商標法第4条第1項第8号が保護する「人」に該当しない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
本件商標
TOKIO(標準文字)
指定商品、
第14類 時計
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由(要旨)
(1)「TOKIO」は、城島茂氏、山口達也氏、国分太一氏、松岡昌宏氏及び長瀬智也氏をメンバーとする日本のアイドルグループの名称である。該グループは、2014年に20周年を迎え、同年11月に日本武道館で行われた20周年コンサートでは観客2万6000人を動員し、同館における公演は57回にのぼった。その他、アルバムCDの販売、NHK「紅白歌合戦」への出場、企業のCMの出演等幅広く活躍するグループであると認定し,次のとおり、判断した。
本件商標は、他人の著名な芸名(グループ名)を含む商標であるといえるところ、その構成メンバーから商標登録の承諾を得ていない。
(2)「TOKIO」は、日本の国民的アイドルグループであって、社会的、経済的に実態を有しており、そのグループ名は、個々のメンバーに共有帰属すると考えるのが妥当であるから、当該グループ名(芸名)が著名である限り、人格的利益を保護されるべきである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号により商標登録を受けることができない。
平成28.8.26発行「審決」より 2016.9.7 ANDO