商標関連情報
「O・MO・TE・NA・SHI・JAPAN」は識別機能を有しない
拒絶査定不服審判
関連規程 商標法第3条第1項第6号
事案の概要
「O・MO・TE・NA・SHI・JAPAN」(下記)の商標を登録出願したところ、自他商品の識別標識としての機能を有しないとの理由で、商標法第3条1項6号に該当するとして拒絶査定された。これに対して、出願人は、この査定の取消しを求めて審判を提起し、次の主張をした。
(審判請求人の主張の要旨)
本件商標は、全体をもってまとまりのよい造語と認識できるものであり、指定商品との関係において「東京オリンピックの招致活動で用いられた話題の語と国名を表示したもの」あるいは「流行語に便乗したキャッチフレーズを表したもの」と認識されることはない。むしろ、出願人の展開する「O・MO・TE・NA・SHI・JAPAN」ブランドとして、自他商品識別機能を発揮するものである。
本件商標
指定商品
第29類 食用油脂,乳製品,食肉,卵 等
第30類 茶,コーヒー、菓子,パン,調味料 等
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由(要旨)
宣伝広告において平仮名や漢字からなる日本の言葉をローマ字で表記することは、広く一般に行われておる。また、本件商標の文字の線が斜めに描かれている箇所があることや赤色彩色部が円形とおぼしき形状で表されている等の態様は、商品に標章等を付す際に様々なデザイン化が行われている現状にあっては、普通に用いられる方法の域を脱していない。
「おもてなしジャパン」や「おもてなしニッポン」等の文字が、「日本のおもてなし」や「日本流のきめ細やかなおもてなし」程の意味で使用されている。
さらに、2013年9月に開かれた2020年東京五輪招致活動の最終プレゼンテーションにおいて,日本社会に根付く歓待の精神を表す「おもてなし」の語が,「お・も・て・な・し」と一音一音丁寧に発音して紹介されたことが大きく注目されて、一般消費者にも広く認識されるに至った。このことは2013年12月に発表された新語・流行語大賞において,「お・も・て・な・し」の語が年間大賞を受賞したことからうかがえる。これを受けて、「O・MO・TE・NA・SHI」の文字が,外国人観光客等に向けた観光事業に使用されている。
そうすると,本件商標は,単に日本の歓待の意を表したものと理解され,その指定商品の宣伝広告を表示したものとして認識されるにすぎず,自他商品識別機能を有しない。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するから、登録することができない。
平成28.8.26発行「審決」より 2016.9.21 ANDO