商標関連情報
「FACEBOOK」と「FACEJAPAN」とは、混同を生じない
登録異議申立
関連規程 商標法第4条第1項第7号、同第15号
事案の概要
商標「FACEJAPAN」が、オンラインによるソーシャルネットワーキングサービスについて登録された。これに対して、「FACEBOOK」の名称のもとに、インターネット上におけるソーシャルネットワーキングサービスを提供している商標権者が、「FACEJAPAN」の登録の取消しを求めて異議申し立てを行った。
本件商標
FACEJAPAN(標準文字)
指定役務
第45類 オンラインによるソーシャルネットワーキングサービスの提供
引用商標1
FACEBOOK(標準文字)
引用商標2
引用商標3
フェースブック(標準文字)
引用商標1,2,3の指定役務
第45類に属する役務 その他
結 論
商標登録を維持する。
理由(要旨)
1 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標「FACEBOOK」の著名性について(異議申立人の提出資料より)
「FACEBOOK」は、異議申立人が運営するインターネット上のソーシャルネットワーキングサービスであって、2004年にアメリカ合衆国の学生向けに限定してサービスを開始した。2006年9月26日以降は一般にも開放され、日本語版は2008年に公開された。公開後急速にユーザーを増やし、2011年9月、世界中に8億人のユーザーを持ち、2012年10月に、10億人を突破した。日本国内の利用者数は、2010年12月で約308万人、2011年9月末に1,000万人を超えた。
してみれば、引用商標「FACEBOOK」は、「ソーシャルネットワーキングサービス」を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められる。
(2)本件商標と引用商標の比較
外観においては、両商標は区別し得るものである。
称呼においては、本件商標はからは生ずる「フェースジャパン」の称呼と、引用商標から生ずる「フェースブック」の称呼とは、相紛れるおそれはない。
観念については、本件商標は造語であって特定の観念を生じない。これに対し、引用商標からは、申立人の業務に係る著名な商標「facebook」(フェースブック)の観念を生ずるから、観念上相紛れるおそれはない。
したがって、本件商標と引用商標とは、非類似の商標である。
このように」引用商標は、ソーシャルネットサービスを表示するものとして広く認識されているが、非類似の商標であり、明らかに相紛れるおそれのない別異の商標である。
そうすると、本件商標を指定役務に使用しても、取引者、需要者が、異議申立人の業務に係るものであるかのように連想等するおそれはなく、混同を生ずるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標と引用商標とは、非類似であり、社会全体の公正な取引秩序を乱すおそれがあると認めるに足る事実はない。
加えて、 本件商標の権利者は、ソーシャルネットワーキングサービスについて、語頭に「FACE」の文字を冠して、それと国名・地域名とを結合させた複数の商標を他国(アメリカ合衆国及びメキシコ)において登録出願しているとしても、これをもって、世界的に著名な引用商標の名声や顧客吸引力に便乗する不正の意図をもって出願されたものといえず、国際信義に反するとはいえない。
したがって、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
平成28.9.30発行「審決」より 2016.10.17 ANDO