商標関連情報
インターネットの動画再生ボタンに酷似の形状 商標登録される
拒絶査定不服審判
主な関連規程 商標法第3条第1項第6号
事案の概要
G社(アメリカ合衆国)がインターネット記事の動画再生ボタンに酷似した形状を、電子メディアのアップロード等の共有又は提供を可能とするソフトウェアを指定商品として、アメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づき、パリ条約第4条の規定による優先権を主張して我が国に登録出願した。この出願は、審査では、次の理由で拒絶査定された。
(拒絶査定の理由)
本件商標は、インターネットの記事の動画再生ボタンとして親しまれている形状と極めて酷似している。してみると、本件商標をその指定商品に使用しても、需要者は、これを動画などの再生ボタンであると理解するにすぎず、結局、本件商標は、特別顕著な部分はなく、需要者は何人かの業務に係る商品であることを認識することができない。したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
この拒絶査定に対して、G社は、取り消しを求めて審判を請求した。
本件商標
指定商品
第9類 インターネット及びその他のコミュニケーションネットワークを介した電子メディア又は情報のアップロード・投稿・表示等を可能にするソフトウェア
結 論
原査定を取り消す。
本件商標は、登録すべきものとする。
理由の要旨
本件商標の構成中の右向きの三角形部分は、これだけを見れば、動画や音楽を再生する機器やソフトウェアのコントローラーに、「再生」の操作を行うボタンを表すものとして一般に使用されているものである。
しかしながら、本件商標は、特徴的な赤色で四隅が丸みをもったブラウン管のテレビ風の四角形の中に、白抜きで右向きの三角形が表されているものであって、その態様は、赤色の色彩を基調とした一体不可分の構成として看取されるものというのが相当である。
また、本件商標は、「YouTube」で動画を起動させるためのアイコンや「You Tube」のアプリケーションソフトウェアを起動させるアイコンを表示させるものとして継続して使用された結果、周知性を得ている。
してみれば、本件商標は、そおの指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るものといえる。
本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。
平成28.11.25発行「審決」より 2017.1.13 ANDO