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商標関連情報

審決

「花王」 「紅花王/ルージュ ファ ワン」は、類似し、かつ、他人の著名な略称を含む

商標登録無効審判

主な関連規程 商標法第4条第1項第11号、同項第8号

事案の概要
「紅花王」と「ルージュ ファ ワン」の文字を2段に表示した商標(下記)が、石鹸、化粧品等を指定商品として商標登録された。これに対して、K社(審判請求人)が、自己の登録商標「花王」に類似するとして、商標法第4条第1項第11号に該当すること及び自己の称号の著名な略称を含むから商標法第4条第1項第8号に該当することを主張して、本件登録は無効にされるべきものであると主張して登録無効審判を提起した。
これに対して、被請求人(この商標の登録人)は、上記の規定には該当しない旨主張し、その中で、本件商標採択の意図を次のように述べた。
(本件商標採択の意図)
「『花王』は、中国の国花『牡丹の花』を意味する」及び「被請求人の『紅花王』商標登録は中国語『ホン ファ ワン』と全文表記しない理由は中国語漢文言葉を日本で同文表記の特許商標登録に使用することを避けるため『紅花王』の紅,ホンをルージュにして,『ルージュ ファ ワン』『紅花王』として商標登録した言葉の意味は『紅牡丹の花』を総称して使用することで,中国の主権侵害に当たらないように配慮して商標登録した。」

本件商標

JPT_005631188_000001

指定商品
第3類 石鹸,香料,薫料,化粧品,歯磨き

引用商標 1

TM_DISPLAY_A

指定商品
第3類 香料類,香水等

引用商標 2

TM_DISPLAY_A

指定商品
第3類 せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き

引用商標 3

本願商標

指定商品
せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き

その他の引用商標 略

結  論
本件商標の登録を無効とする。

理由の要旨
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
「花王」の文字(語)は、本件商標の登録出願の日前から、審判請求人の著名な略称として、我が国の取引者、需要者の間に認識されているものであって、その状況は、本件商標の登録査定日はもとより現在においても継続している。
本件商標と引用商標とを比較すると、、両商標は、構成全体の外観において相違するとしても、本件商標の要部として看者の注意を惹く「花王」の文字部分において、引用商標と構成文字を共通にするものであり、「カオウ」の称呼及び「(請求人の著名な略称としての)花王」の観念を共通にするものであるから、本件商標と引用商標とは、互いに相紛れるおそれのある類似の商標と認められる。
2 商標法第4条第1項第8号該当性について
「花王」の文字は、請求人の著名な略称として我が国の取引者、需要者の間に認識されていることからすれば、本件商標は、「紅花王」の文字が上段に大きく表示されていることと相まって、これに接する者に、該文字中の上記著名な略称と同一の文字である「花王」の文字部分に着目し、請求人を連想、想起させるものといえる。
そうすると本件商標は、他人(請求人)の著名な略称を含む商標といえるものであり、商標法第4条第1項第8号に該当する。
3 本件商標の採択の意図について
本件商標に接する者が、その商標権者の商標採択の意図のとおりに、その商標の意義を理解、認識するとは限らないものであって、本件商標が、どのように理解、認識されるかは、これに接する我が国の取引者、需要者の認識に基づいて、その商品の取引等の実情を考慮して、判断されるべきである。
我が国において、「紅花王」の文字が、これに接する者に、「紅花王の花」を総称していることを直ちに理解、認識させるものとすべき特段の理由を見いだすこともできない。
4 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第8号に違反してされたものであるから、同法第46条により、無効とすべきである。

平成28.12.22発行「審決」より  2017.1.27 ANDO

 

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