商標関連情報
「ピカチュウ」(液晶ゲームキャラクター) 「ピカキュウ」(照明器具)は外観・称呼上混同しない。
登録異議の申立
主な関連規程 商標法第4条第1項第15号
事案の概要
「ピカキュウ」なる商標が、自動車用照明器具、電球及び照明器具及びそれら商品の小売役務を指定して、登録された。それに対して、「ピカチュー/PIKACHU」を商標登録し、かつ、液晶画面ゲームおもちゃ用のゲームソフト「ポケットモンスター」に登場する代表的モンスターに「ピカチュー」の名称を使用する者が、「ピカチュウ」が周知であるため取引上混同を生ずるおそれがある旨主張して、本件商標の登録の取消を求めて、異議を行った。
(「ピカチュウ」が周知である主張の要点)
申立人は、明治22年に創業し昭和22年に設立された日本の株式会である。申立人は、1996年に携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のゲームソフトである「ポケットモンスター赤・緑」を発売し、現在に至るまで関連事業をおこなっている。関連事業は、ゲ-ムソフト、カードゲーム、映画、ライセンス商品等があり、全世界における市場規模は、4兆8000億円以上となっている。「ポケットモンスター」に登場するモンスターの中で、「ピカチュウ」は、初期から登場しており、ライセンス商品等にそのキャラクターが使用されてきた。
ゲームおもちゃ等のキャラクターとしての「ピカチュウ」は、我が国における取引者・需要者の間で、一定程度の周知性を有している。
本件商標
ピカキュウ(標準文字)
指定商品
第11類 自動車用照明器具 等
第35類 自動車用照明器具等の小売り役務
引用商標 2
使用商品・役務
携帯用液晶画面ゲームおもちゃ等のキャラクター
結 論
本件商標の登録を維持する。
理由(要旨)
本件商標と引用商標とは、「ピカキュウ」と「ピカチュウ」の片仮名の比較において外観が類似するとしても、それぞれの構成全体の外観及び称呼においては、明確に区別できる差異を有しており、観念においては、類似するものではないから、これらを総合して考慮すれば、本件商標と引用商標とは、互いに相紛れるおそれのない、非類似のものであって、別異の商標というべきである。
引用商標は、申立人の業務に係るキャラクターであって、いわゆるハウスマークではない。
キャラクターとしての「ピカチュウ」が一定程度の周知性を有しているとしても、引用商標の構成態様による具体的な使用状況、又は、使用時期等について、具体的に主張、立証していない。そうすると、引用商標は、その構成態様によって、取引者、需要者の間に広く知られているということはできない。本件商標お引用商標とは、別異の商標であることから、本願商標から直ちに引用商標を連想、想起するものとはいえない。
申立人と本件商標の指定商品及び指定役務との関連性も見いだせない。
以上のことから、申立人の業務に係るキャラクター「ピカチュウ」が、一定程度周知性を有しているとしても、本件商標と引用商標とは、別異のものであって、本件商標をその指定商品又は指定役務に使用しても、その商品および役務の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではない。
平成29.2.24発行「審決」より 2017.4.13 ANDO