商標関連情報
「CITIZEN」(時計) 「シチズンエム」(宿泊施設)は混同しない
事件の表示 不服2016-15413
確 定 日 2017.1.6
主な関連規程 商標法第4条第1項第15号
事案の概要
「シチズンエム」なる商標が宿泊施設の提供(ホテル等)について出願された。これに対して、審査では次の理由で拒絶査定した。
(拒絶理由の要旨)
本件商標は、その構成中に、「シチズン株式会社」がその商品「時計」に使用して著名な商標である「CITIZEN」の表音を片仮名表記した「シチズン」の文字を有してなるものであって、ホテル等のロビーあるいは客室などにおいて各種の時計が使われていることから、シチズン株式会社又はその者と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、誤認を生ずるおそれがある。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
この拒絶査定に対して、出願人が、取消しを求めて審判を請求した。
本件商標
「シチズンエム」(標準文字)
定定役務
宿泊施設の提供
引用商標
「CITIZEN」「シチズン」
使用商品
時 計 (「シチズン時計株式会社」が商品に使用し、広く認識されている。)
結 論
原査定を取り消す。本件商標は、登録すべきものとする。
理由(要旨)
(1)「CITIZEN」及び「シチズン」商標の著名性について
引用商標は、東京都西東京市田無町6–1-12に本社をおく、「シチズン時計株式会社」が商品「時計」について使用して、「時計」を取り扱う分野において、我が国の需要者に広く認識されている。
(2)本件商標と引用商標との類似性について
本願商標と引用商標とは、外観上判然と区別し得る差異を有し、称呼においては「シチズンエム」と「シチズン」とは明確に区別できる。観念においては、引用商標から「市民(国民)」の観念が生ずるものではあるが、本願商標からは特定の観念を生じないのであるから、比較することができない。そうすると、本件商標と引用商標とは、互いに相紛れるおそれのない非類似の別異の商標というべきである。
(3)本件商標の指定役務と引用商標を使用する者の業務との関連性について
本願商標の指定役務は、第43類「宿泊施設の提供」であるのに対し、引用商標に関する商品は、「時計」であり、両者は、その内容において分野が著しく異なるものであるから、関連性が乏しく、需要者の共通性も低い。
(4)前期(1)ないし(3)からすると、引用商標が、需要者の間に広く認識されていたものであるとしても、本願商標を「宿泊施設の提供」に使用しても、「シチズン株式会社」又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかの如く、役務の出所について混同を生ずるおそれはないとみるのが相当である。
平成29.2.24発行「審決」より 2017.5.2 ANDO