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商標関連情報

判決

「マイナンバー」(マイナンバー制度) 「マイナンバー実務検定」は類似

種  別  審決取消訴訟判決
出訴番号  平成29年(行ケ)第10208号
判決言渡日 平成30年4月11日(2018.4.11)

関連法規    商標法第4条第1項第6号,同項第11号

本件商標     マイナンバー実務検定(標準文字)
指定役務   第41類 技芸・スポーツ又は知識の教授,検定試験の企画・運営又は実施及びこれらに関する情報の 提供等

引用使用標章 マイナンバー
使用対象     マイナンバー法に基づく社会保障・税番号又は個人番号であるマイナンバー制度の表示

引用登録商標 マイナンバー(標準文字)
指定役務  
第41類 技芸・スポーツ又は知識の教授 等,マイナンバー法に関する知識の教授 等

結  論  本願商標は、商標法4条1項6号及び11号に該当する商標であり、登録することはできない。
本件請求は、棄却する。

理  由
1 商標法4条1項6号該当性について
(1)商標法第4条第1項6号は、公益に関する事業等を表示する標章を一私人に独占させることは、所定の団体の信用や権威を損ない,国際信義に反することから,これを不登録事由としたものと解される。
(2)引用標章が「公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章で著名」であることについて
(ア)マイナンバー制度は,平成25年5月に成立したマイナンバー法に基づいて,行政機関や地方公共団体が,社会保障,税,災害対策の3分野について、分野横断的な共通の番号を導入することで,個人の特定を確実かつ迅速に行うことにより,所得や行政サービスの受給状況を把握しやすくすること等による、公平・公正な社会の実現,また,添付書類の削減など,行政手続きが簡素化されること等による,国民の利便性向上,さらに,行政機関や地方公共団体などで,様々な情報の照合などに要している時間や労力の削減等による,行政の効率化を実現するために設けられた制度であり,平成28年1月から,順次運用を開始している。
よって,マイナンバー制度は,「公益に関する事業であって営利を目的としないもの」に該当する。
(イ)引用標章「マイナンバー」はマイナンバー制度において利用されている文字であり,マイナンバー制度を意味する語として,取引者,需要者に広く知られていおり、「著名」である。
(3)本願商標と引用標章の類否
本願商標の指定役務には、「検定試験の企画・運営又は実施及びこれらに関する情報の提供」等が含まれるところ、本願商標の「実務検定」の構成部分からは,役務の出所識別標識としての称呼,観念は生じない。以上によれば,本願商標から、「マイナンバー」という構成部分を抽出して引用商標比較し,商標の類否を判断することも許される。
本願商標のうち,出所識別標識として強く支配的な印象を与える「マイナンバー」の構成部分と,引用標章とは,称呼及び観念がいずれも同一である。
よって,本願商標と引用標章とは,類似するというべきである。
(4)以上によれば,本願商標は,商標法第4条1項6号に該当する。
2 商標法4条1項11号該当性について
(1)引用商標について
引用商標は,著名標章「マイナンバー」(引用使用標章)と同一である。よって,「マイナンバー」の称呼とマイナンバー法に基づく社会保障・税番号又は個人番号,社会保障・枝番号制度であるマイナンバー制度の観念を生ずる。
(2)商標の類否
本願商標のうち、出所識別標識として強く支配的な印象を与える「マイナンバー」という構成部分を抽出し,引用商標と比較して、商標の類否を判断するとき、本願商標と引用商標とは、類似する。
(3)指定役務のり類否
本願商標の指定役務のうち,「技芸・スポーツ又は知識の教授」等は,引用商標の指定役務と同一の役務を含むものであるから,同一又は類似するといえる。
(4)原告の主張について
原告は,本件審決は,本願商標と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について具体的に判断していないのであるから,理由不備,審理不尽である旨主張する。
商標法は,審決は、「審決の結論及び理由」を記載した文書をもって行われなければならない旨を定めている(商標法56条1項,特許法157条2項4号)。審決書に記載すべき理由としては,審判における最終的な判断として、その判断の根拠を証拠による事実に基づき具体的に明示することを要すものと解する。
商標法4条1項11号に該当するとして拒絶査定不服審判請求が成り立たない旨の審決をする場合には,両商標の措定役務が同一又は類似することを,審決において審理判断し,審決書に記載しなければならない。
しかるに、本件審決には,この点において理由が十分記載されていないということができる。
本件においては、原告は,審判請求書において、本願商標の指定役務と引用商標の指定役務とが類似しないことことについての主張はしていないし、本件訴訟においても、指定役務が類似しない旨の主張はしていない。そして,本願商標の指定役務と引用商標の指定役務とが同一又は類似する。しかも、本願商標が商標法4条1項6号に該当する。そうすると、本件審決が,指定役務の類否について判断を示すことなく、商標法4条1項11号該当性を肯定したことをもって,結論に影響する違法があったとまでいうことはできない。
(5)小括
以上によれば,本願商標は,商標法4条1項11号に該当する。
3 結論
以上のとおり,本願商標は,商標法4条1項6号及び11号に該当する商標であり,これを登録することができないとした本件審決は、結論において正当である。よって、本件請求は理由がないから、棄却する。

平成30(2018).7.27発行「審決」より 2018.8.17 ANDO

 

 

 

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