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商標関連情報

審決

「お~いお茶」(緑茶飲料) 「はーいお茶」(茶)は呼応する関係、混同を生じる

種  別   異議の決定
異議申立番号 異議2016-900235
確 定 日  平成29年(2017)7月18日

主な関連規程 商標法第4条第1項第15号

事案の概要
「はーいお茶」なる商標(下記)が、「茶」について商標登録された。これに対して、「お~いお茶」なる商標を「茶、緑茶飲料」等について登録し、緑茶飲料に使用して、周知に至っている者が、登録の取消しを求めて、異議の申立てを行った。

本件商標

JPJ7428900235_000001

指定商品 第30類 茶

申立人商標1(登録・使用)

JPJ7428900235_000002

指定商品 第30類 茶,緑茶飲料 等

申立人商標2(使用)

 

JPJ7428900235_000004

使用商品 緑茶飲料

結  論 本件商標の登録を取り消す。

理  由(要旨)
1 申立人商標の著名性
(1)使用に関する事実
ア 申立人は、「お~いお茶」からなる登録商標を「茶、緑茶飲料」等について有しており、「緑茶飲料」には、上記申立人商標1及び申立人商標2を使用している。
イ 申立人は、1989年(平成元年)に、申立人商標を付した缶入り緑茶等の発売を開始し、翌1990年(平成2年には、緑茶飲料を世界で初めて発売した。申立人商標を付したペットボトル入りの緑茶飲料は、2002年(平成14年)には、累計販売本数が、50億本(500mlペットボトル換算)を突破した。また、2003年(平成15年)には、申立人商標を付したペットボトル入りの緑茶飲料は、すべての茶系飲料の中で販売量が1位であった。
申立人商標を付したペットボトル入りの緑茶飲料の累計販売本数は、2006年(平成18年)には、100億本、2009年(平成21年)には150億本(いずれも500mlペットボトル換算)を、突破した。
ウ 食品マーケティング便覧No. 6(株式会社富士経済発行)によれば、「日本茶(リキッド)」市場のブランドシェアで、2014年(平成26年)及び2015年(平成27年)ともに、約34%で1位であった。
(2)上記の使用状況に加えて、緑茶が我が国の国民の間で日常的に飲用される商品であり、また、商標が簡潔な構成よりなり、緑茶飲料として記憶に残りやすい言葉であることを考慮すると、申立人商標は、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものということができる。
2 本件商標と申立人商標の対比
本件商標と申立人商標は、外観については、書体が相違するものの、いずれも縦書きにした「お茶」の文字を大きく表し、該文字の右上又は上部に「はーい」又は「お~い」と表して縦書きにし、これらの感動詞を「お茶」文字部分に比べ、やや小さく表してなる点において、構成の軌を一にするものであり、外観上極めて近似した印象を与えるものである。また、称呼については、「ハーイオチャ」と「オーイオチャ」の称呼が、語頭において「ハ」音と「オ」の音に差異を有し、音質、発音方法において相違するものの、他の音をすべて同じくする。さらに、観念については、本願商標より生ずる「お茶を出すときの掛け声」なる観念と申立人商標より生ずる「お茶を請うときの掛け声」なる観念は、呼びかけとそれに応答するというものであって、類似するといえないとしても、呼応する掛け声として強い関連性を有するといえる。
してみると、本件商標と申立人商標は、外観及び称呼において、かなり近似する商標といえるばかりでなく、観念上も強い関連性のある商標であって、両商標を総合的に考察すれば、類似性の程度は高いというべきである。
3 本件商標の指定商品と申立人商標が使用される商品の関連性、その需要者等
本件商標の指定商品「茶」と申立人商標が使用される商品「緑茶飲料」とは、同一又は極めて関連性の高い商品であり、子供から老人まで広い世代にわたる一般の消費者が、スーパーマーケットやコンビニ等の小売店や自動販売機などで日常的に購入する安価な商品であることを考慮すると、これらを購入するに際して払われる注意力はさほど高いものとはいえない。
4 結び
上記1ないし3を総合すると、本件商標に接する需要者は、申立人商標を直ちに想起・連想し、本件商標を申立人商標の姉妹ブランドであるかのように誤信するおそれがあるから、商品の出所において混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
5 本件商標権者の意見について
(1)本件商標権者は、意見書において本件商標と申立人商標の類否の判断は、「『はーい』と」『お~い』の語に限定さしてなされるべきである。しかるとき、両者間には類似性は存在しない。」旨主張している。
しかしながら、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとした理由は、その前提として申立人の著名性を認めたうえで、需要者は、本件商標を申立人商標の姉妹ブランドであるかのように誤信し、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというものであり、その構成全体をもって看取されるとみるのが相当であって、これを殊更「はーい」又は「お~い」の文字部分を取り出して観察すべき事情は見いだせない。

平成29年9月29日発行「審決」より  2017.10.23 ANDO

 

 

 

 

 

 

 

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