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商標関連情報

審決

「UMB」(ラップのフリースタイル大会、DVD等) 「UMB」を上段に表示した商標につき「不正の目的」を認定

異議申立番号 異議2014-900360
確 定 日  平成29年(2017)6月29日

主な関連規程 商標法第4条第1項第19号

事案の概要
「UMB」,「Ultimate」、「MC」及び「Battle」を4段に表示した商標(下記)が、ティーシャツの小売り役務、録画済みDVDの小売り役務、興行の開催等を指定して商標登録された。これに対して、「ULTIMATE MC BATTLE」という名でラップのフリースタイル大会を開催し、DVDに「UMB」の文字を付して販売等をしている法人が、その登録は不正な目的をもって使用するものである旨の理由で、登録の取消を求めて審判を請求した。

本件商標

JPJ7426900360_000001

指定商品
第35類 ティーシャツの小売り役務 録画済みDVDの小売り役務 等
第41類 興行の企画・運営又は開催 等
第42類 デザインの考案 等

引用商標(使用)

JPJ7426900360_000002

使用に係る役務
「ULTIMATE MC BATTLE」という名で、ラップのフリースタイル大会の開催
「USB」の文字を付した競技大会の様子を収めたDVDや録音したCDの販売若しくはインターネット上でのダウンロード販売、ストリーミング形式による音楽の提供、Tシャツなどの関連商品の販売 等

結  論
本件商標の登録を取り消す。

理  由(要旨)
(1)引用商標の周知性について
引用商標は、上記「使用に係る役務」の項に記載の役務に長年にわたり継続して使用されてきたものであり、我が国のラッパーのファンやラップミュージックの愛好家である需要者の間に広く認識されていた。
(2)本件商標と引用商標の類似性
本件商標中の「UMB」の文字は、他の語より看者の目を引くように4倍程度大きく表されており、かつ、下段に書されている「Ultimate」、「MC」及び「Battle」の各文字の頭文字をとって並べたものと認識できるから、該文字が看者に強い印象を与え、これより「ユウエムビー」の称呼が生じる。
本件商標と引用商標は、「UMB」の文字を共通にするものであるから、外観上、近似する。称呼においては「ユウエムビー」の称呼を共通にする。観念においては、特定の観念を生じない。
してみると、本件商標と引用商標とは、外観及び称呼において、互いに紛らわしい類似の商標である。
(3)不正の目的
本件商標は、引用商標と類似していること、引用商標が本件商標の登録出願時において申立人の役務を表示するものとして、ラッパーファンやラップミュージックの愛好家である需要者の間において広く認識されていたこと、「UMB」の語は、既成語ではなく商標として採択されやすいものではないこと、などを併せ考慮すると、商標権者は、引用商標が広く認識されていることを知りながら、引用商標が未だ我が国において商標登録されていないことを奇貨として、それに化体された業務上の信用と顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)し、不正の利益を得る目的など、不正の目的のために引用商標と類似する本件商標を先に登録出願し設定登録をうけたものと推認せざるを得ない。
(4)以上によれば、本件商標は、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして広く認識されている引用商標と極めて類似する商標であって、不正の目的をもって使用する商標といわなければならないから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(5)商標権者」の主張に関して
ア 「UMB」という名称は川上氏が、そのロゴデザインはデザイナーである友人が考案したものである旨主張する。
しかし、川上氏はアーティストとして申立人企業に帰属していたものであり、その後商標権者と申立人とは決別し川上氏が申立人を去った後も、申立人が「UMB」事業を行っていたのであるから、ラッパーファンや需要者間において広く認識されたのは、申立人である。
イ 川上氏が申立人のイベントの中で企画及び運営に携わっており、そのことによって同イベントが盛況であった旨主張する。
しかし、そのイべントは、申立人が行っていたことになるわけであるから、申立人が周知にしたことには変わりがない。

平成29.7.28発行「審決」より 2017.9.11 ANDO

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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